トランプ米政権が暗号資産(仮想通貨)業界の規制緩和を進める中、デジタル資産関連の新種の金融商品がウォール街で産声を上げようとしている。

匿名を条件に語った複数の関係者によると、仮想通貨ソラナの動きに連動させて高利回りを追求する「REX-Osprey Sol + Staking ETF」(ティッカーSSK)が規制上のハードルをクリアし、2日に上場予定となっている。上場に向けて米証券取引委員会(SEC)と数カ月間に及ぶ調整が続いていた。

この新たなETFでは、ソラナのトークンをブロックチェーン取引のバリデーション(検証)のために預け入れる「ステーキング」というプロセスを通して投資家が報酬を受け取る仕組みを初めて取り入れている。ETFに集まる資産の一部をステーキングに割り当て、リターンを確保していく設計になっており、経費率は0.75%に設定されている。

暗号資産業界では、ソラナは高速でより安価な取引が可能だと指摘されている。現時点でソラナを直接保有するETFは存在せず、別の仮想通貨であるイーサリアムを保有する既存のETFではステーキングを採用していない。

この承認を巡っては、同ETFの登録を目指すレックス・ファイナンシャルとオスプレイ・ファンズが最初のハードルをクリアしたと5月に発表した直後に、SECのスタッフが否定するという異例の出来事があった。論点となったのは、ETFの運用ファンドが連邦法上の「投資会社」としての基準を満たすかどうかで、暗号資産業界の規制について議論が巻き起こっていた。

先月27日付の最新の目論見書には、「全資産の少なくとも40%」をETFなど他の上場金融商品に投資すると明記。一覧には証券に分類されるソラナ関連ETFなどが含まれている。5月30日時点の届出書にはファンドが保有する証券の比率についての記載はなかった。

レックス・ファイナンシャルの創業者グレッグ・キング最高経営責任者(CEO)は5月時点で、6月中旬のローンチを目標としていると語り、「SECが書類の審査に尽力してくれたことに感謝している。SSKのような革新的なETFを上場するにあたっては、これまでになかった多くの課題が出てきている」と述べていた。

一方で、米国ではステーキング報酬の配分や課税、報告の方法についての制度がまだ整備の途上にある。さらにETFの発行会社が規制の枠内でファンドを運営していけるのか課題も残っている。

米投資顧問会社ETFストアのネイト・ジェラシ社長は「事実上、『暗号資産ETFの夏』の幕開けとなる」と述べた上で、「今後数カ月で暗号資産ETFが次々と登場する見込みで、これがその第一号だろう。近いうちにイーサリアムの現物ETFもステーキングの承認を得る可能性がある」と語った。

原題:‘Crypto ETF Summer’ Kicks Off With New Blockchain-Powered Trade(抜粋)

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