アマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス氏と元テレビ司会者ローレン・サンチェス氏が、イタリアのベネチアで総額1000万ドル(約14億7000万円)をかけた3日間にわたる豪華な結婚式を予定しているが、これに合わせてオーバーツーリズムに不満を持つ活動家たちが抗議行動を計画している。

「水に飛び込み、浮き輪を使ってこのイベントに抗議する」と語るのは、「ノー・スペース・フォー・ベゾス」運動を代表するフェデリカ・トニネッロ氏。

この団体は結婚式の会場候補の一つとされるスクオーラ・グランデ・デッラ・ミゼリコルディアへの陸路・水路のアクセスを平和的に封鎖する計画を発表しており、「街を取り戻したいと願う全ての人に開かれた抗議だ」と呼びかける。

「ノー・スペース・フォー・ベゾス」運動の集会(6月13日)

ビエンナーレ(国際美術展)や国際会議、そして夏の観光客の波で混雑するベネチアに、住民は長年慣れてきた。しかし2019年には年間1300万人余りが訪れ、住民の減少が進む中で、オーバーツーリズムへの怒りが高まっており、26日に予定される結婚式が標的となった。

ブルニャーロ市長はベゾス氏をベネチアに招こうと奔走したが、活動家らはこれについて、観光客に街を明け渡したと批判。

今月に入り、結婚式場とされる16世紀に建てられたサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会に、ベゾス氏の名前にバツ印をつけた横断幕が掲げられた。トニネッロ氏は「ベネチアを1人の人間が好きなように使える街として扱うことに抗議している」と述べた。

観光はベネチア経済に年間15億ドル超をもたらし、地域最大の雇用源でもある。結婚式も成長産業で、今年だけで600組以上が同地での挙式を予定している。14年には俳優ジョージ・クルーニー氏とアマル・アラムディン氏の結婚式が行われた。

観光客で混雑する通り
リアルト橋に掲げられた横断幕

ベゾス氏側の担当者は、現地住民や施設への配慮、混乱の最小化、地域雇用の重視などをうたったオーガナイザーの発表を参照するよう求めた。

新型コロナウイルス流行中を除けば、ベネチアの観光客数は2000年代初頭から増加傾向にある。21年には大型クルーズ船の乗り入れを禁止し、24年4月からは日帰り観光客に5ユーロ(約840円)の「入島税」を導入したが、観光の波を抑えるには至っていない。

「公共サービスを妨げない限り、ベゾス氏の結婚式に反対しているわけではない」と話すのは、地元のホテルでコンシェルジュを務めるマッテオ・セッキ氏。「観光に生活を支えられているのも事実だが、もう限界だ」と真情を吐露した。

今年1-4月はベネチアの観光客数が前年同期比で6.7%減少した。観光業にとっては痛手だが、住民はほっとしているかもしれない。

サンマルコ広場

原題:Bezos Wedding Prompts Anti-Tourism Protests in Venice(抜粋)

--取材協力:Flavia Rotondi、Robin Ajello.

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