(ブルームバーグ):投機勢による円の売り越しが約9年ぶりの高水準に急増した。政府・日本銀行による為替介入のリスクや16日の日銀金融政策決定会合での追加利上げの可能性をよそに、円キャリートレードが復活していることを示している。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、レバレッジド・ファンドによる円売り越しは9日までの1週間で11万5000枚超に拡大し、2017年11月以来の高水準となった。円相場が足元1ドル=160円近辺で推移する中、市場関係者の間では円買い介入への警戒感が高まっている。
相対的に低金利の円を借り入れ、より高い利回りの他国通貨で運用する「円キャリートレード」が再び活発化している背景には、世界の金融市場のボラティリティー(変動率)が比較的穏やかな水準にとどまっていることがある。さらに、日銀による段階的な利上げにもかかわらず、円は下落トレンドを維持。日米の金利差が埋まらない中、当局による過去最大規模の円買い介入の効果も限定的となっている。
棚瀬順哉氏らJPモルガンのストラテジストはリポートで、日銀の追加利上げと為替介入の可能性は市場にすでにかなり織り込まれており、予想外の利上げと介入が大規模な円売りポジションの巻き戻しにつながった24年夏とは状況が異なるとの見方を示した。また、多くの投資家が介入による円の反発局面を「円売りの好機」と捉えていることが、4月末から5月にかけての介入時に示されたと指摘。当時、円売りポジションは一時的に縮小したがすぐに拡大し、わずか数週間で介入前の水準に戻った。
もっとも、円キャリートレードにリスクがないわけではない。24年には日銀による利上げと国債買い入れ減額計画の発表が引き金となり、同トレードが崩壊。急激な円高の進行により、投資家はレバレッジをかけたポジションの解消を余儀なくされ、その衝撃は世界の為替・株式市場に波及した。
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