(ブルームバーグ):23日の日本市場は円相場が対ドルで下落幅を拡大している。米国のイラン核施設への攻撃を受けてドルが買われた。円安を好感して株式は下げ幅を縮小、原油高で長期金利は上昇(債券価格は下落)した。
円相場は1ドル=147円台に下落した。トランプ米大統領は米国時間21日、イランの核施設3カ所への攻撃を成功裏に完了したと明らかにした。「有事のドル買い」でドルは主要通貨に対してほぼ全面高。一時1%近く下落した日経平均株価は0.1%安で取引を終えた。
中東情勢混迷による安全資産需要で金相場が上昇、原油も値上がりしている。金融市場はリスクオフと原油高によるインフレ懸念という要因に挟まれている。安全資産とされる債券は原油高の影響をより受けて売りが優勢だった。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、米国のイラン核施設攻撃でイスラエルとイランの軍事衝突は新ステージに移行したとして、世界経済に及ぼす影響を中心に考察した場合には「原油供給と原油価格が最も重要と言える」と23日付リポートに記した。
為替
円相場は1ドル=147円40銭まで下落し、1カ月超ぶりの安値圏で推移している。中東情勢の緊迫化を背景に有事のドル買いが優勢だ。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は「リスクオフのドル買いが重なっているようだ」と指摘。ドルは「じりじりと買われており、イラン問題の行方がはっきりするまで堅調が続く可能性がある」と語った。
株式
東京株式相場は午後に下げ幅を縮小した。米国によるイラン攻撃を受け、インフレや地政学リスクの高まりを警戒した売りが先行した。電機株のほか、鉄鋼や化学など素材株、証券や銀行など金融株が安い。半面、原油市況高を追い風に鉱業株は上昇した。
東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「米国施設や米国人、エネルギー施設への攻撃リスクがあることで日本株にも一時的な影響が出そう」と語った。ただ、米国とイランの軍事力の圧倒的な差を考えれば、両国の紛争は現実的には長期化しないだろうとも述べた。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、イランの反撃能力が低下している可能性を踏まえると、「イランが今回の紛争の解決に対して前向きな動きをとり得る」との見方があると指摘し、株価の下げは限定的だったと説明した。
債券
債券相場は下落。原油価格の上昇を受けて売りが優勢だだった。20年国債入札に向けた売りも出た。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、米国の攻撃に対するイランの出方が焦点だとした上で、原油価格上昇への懸念や20年債入札を控えて相場は軟調だと述べた。「防衛費増額への圧力が高まっているとの報道や、東京都議選での自民敗北による参院選の不透明感の高まりも金利低下を抑制している」との見方を示した。
財務省は24日に20年利付国債入札を実施する。長谷川氏は発行減額となるため今後は落ち着いていくとみるものの、「今回は減額前の供給なので警戒感がある。需要が確認されれば買いは入るだろうが、それを見る前に先行して買っていこうとする動きは見込みにくい」と述べた。
みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは20年債入札について「コンセッション(事前の調整)のような動きは見られたが、銘柄入れ替えや先回り買いが入ったことから、どちらかといえば投資家は慎重な様子だ」と指摘。さらに「四半期末のタイミングであえて超長期のデュレーションリスクを負う必要はないと考えている投資家もいるだろう」との見方を示した。
新発国債利回り(午後3時時点)
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:横山桃花.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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