給付金約3.1兆円の世帯主年齢別分配、シニア層への手厚い支給

次に、国民1人当たり2万円の給付金が、1世帯当たりの所得にどのくらいのインパクトがあるのかを調べてみたい。

実のところ、家計1世帯の平均的な名目所得は簡単には調べられない。厚生労働省の「国民生活基礎調査」の直近値である2022年では、全世帯の平均所得が524.2万円となっていた。内閣府「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報」で2024暦年までのデータを使って調べると、2022〜2024年まで6.3%ほど家計所得は増えていた。

そうなると、2024年の平均所得は557.1万円(試算値、524.2万円×1.063)になる。

1世帯当たりの給付金支給額は、約5.6万円(試算値)なので、今回の給付金は名目所得の1.0%のインパクトになる。

2024年の消費者物価・総合が前年比2.7%だったので、物価上昇に食われた購買力の一部を現金給付で補填したという見方もできる。

また、世帯主年齢別に約3.1兆円の現金給付がどのように分布しているのかを試算してみることにした。

年代別の給付額は、40歳未満5,668億円(シェア18.4%)、40歳代6,137億円(同19.9%)、50歳代5,264億円(同17.1%)、60歳代4,140億円(同13.4%)、70歳以上9,636億円(同%31.2%)となっている。シニアに手厚い支給になっている。

おそらく、政府が子供1人に+2万円の追加措置を実施しなければ、支給額はもっと60歳以上の世帯に偏っていた可能性がある。

仮に、所得制限を付けて実施する場合、そこでも極端にシニアに支給が偏る状況になっていただろう。