(ブルームバーグ):JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーをはじめとする大手銀行の貴金属トレーダーらは1-3月期(第1四半期)、過去5年間で最高の業績を記録した。米国で裁定取引の好機が発生し、膨大な量の地金が米国に流入したことが要因の一部だ。
市場調査会社クリシル・コアリション・グリニッジのデータによると、主要銀行12行が第1四半期に貴金属取引で得た収益は合計5億ドル(約722億円)に達し、過去10年で2番目に高い水準となった。これは、過去10年間の四半期平均収益の約2倍に相当する。
この予想外の利益は、米国での金プレミアムの急騰に一部起因する。貴金属に関税が課されるとの懸念が広がり、ディーラーらが大量の金と銀を米国先物取引所の倉庫に輸送する動きが加速した。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)では、金と銀の価格が他の国際指標を上回り、ロンドン、スイス、香港などの取引拠点で金を購入して米国へ輸送すれば、関税発効前に利益を得られる状況が発生した。2020年にも同様の現象があり、新型コロナで商業フライトが停止した際、一部の銀行は金をニューヨークに運ぶ方法を見つけ、長期的な裁定取引機会を享受していた。
取引所のデータによると、モルガン・スタンレーは第1四半期、最も多い67トンの金を独自のCOMEXでの決済に充てた。現在の市場価格では約70億ドル相当だ。
貴金属市場で最大手のディーラーであるJPモルガンは、2月限の先物契約の決済のため、40億ドル超相当の金地金を納入した。同取引所の歴史上でも、有数の大規模なデリバリー通知となった。ただ、取引は、最終的には4月に中断された。トランプ米大統領が導入した上乗せ関税のパッケージで、地金は対象外とされたためである。
モルガン・スタンレーはコメントを控えた。JPモルガンの広報担当者は、問い合わせに今のところ返答していない。
クリシル・コアリション・グリニッジの債券・通貨・コモディティ部門責任者アンガド・チャットワル氏は、トランプ米大統領による関税政策の展開がもたらした市場のボラティリティーも、12行の収益押し上げにつながったと指摘した。
原題:Gold-Dealing Banks Reaped $500 Million as Tariff Panic Set In(抜粋)
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