トランプ米大統領が「解放の日」と呼んだ4月2日の関税発表に端を発した市場の混乱は、沈静化しつつある。だが、世界の大手銀行のリスク管理部門では、その余波がなお続いている。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ナットウエスト・マーケッツ、ABNアムロ銀行のトレーダーらは、防衛体制を強化中だ。リスク部門への報告と確認を日々行い、ポートフォリオのストレステストを実施、スワップポジションの圧縮も進めている。損失リスクの軽減が狙いだが、慎重姿勢は収益性を圧迫する可能性もある。

4月に米国債が株式と共に急落し、米国債市場に2年ぶりの高ボラティリティーをもたらした後、現在は一見すると平穏な相場環境が戻っているように見える。しかし、4月並みの波乱はすぐそばまで来ているかもしれない。

米連邦政府の債務上限引き上げ期限が迫るほか、トランプ氏による関税の免除措置は7月9日に失効する予定。また、同氏の赤字拡大型の減税政策に対する懸念も高まっている。

ABNアムロのスワップ取引責任者ディーデリック・フィッサー氏は「市場は非常に荒れた展開になり得る。大きなストレスの時期に入ったとき、市場がどう反応するかが読めないのが難しさだ」と述べた。

 

長期債への投資意欲は世界的に後退している。各国政府による積極財政を賄う資金調達を巡る不安が利回り上昇を招いている。

ABNアムロでは今後の変動拡大に備え、スワップ取引のポジションを縮小中だという。

BofAで欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域のリニア金利取引を統括するカル・エルワハブ氏も、過去4週間でリスクの高いポジションを削減した。流動性が薄くなる夏の相場で値動きが誇張される懸念があるとし、世界経済の「脆弱(ぜいじゃく)性」にも警鐘を鳴らす。

同氏は、以前には週に1、2回だったリスク部門との連携が、今では毎日になっていると説明。「市場リスク部門との関わりは劇的に増えた」と話す。現在はシナリオ分析やバリュー・アット・リスク(VaR)といったリスク評価手法を日々活用してポジションを管理しているという。

4月には米国債が株式、暗号資産、その他のリスク資産と共に売られた。ナットウエストの債券取引グローバル責任者ジャレッド・ノーリング氏は、株と債券の同時下落の再現に備え、ポートフォリオのストレステストを続けている。

「4月上旬の出来事によって、われわれは今後訪れるかもしれない非常に難しい市場環境を先取りして味わった」と述べた。

原題:Bond Traders Consult Risk Bosses Daily to Prep for Next Storm(抜粋)

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