(ブルームバーグ):9日の日本市場では株式が続伸。米国の雇用指標が市場予想を上回ったことで景気不安が後退し、買いが優勢だった。債券はリスクオンの流れで下落し、円は対ドルで下落した後に買い戻された。
6日に発表された5月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比13万9000人増と市場予想を上回った。また、米中の主要貿易交渉担当者は、中国によるレアアース(希土類)支配を巡る緊張の緩和を目指し、9日にロンドンで再び協議を行う。米中の関係改善期待も投資家のセンチメント改善につながった。
東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、投資家は雇用統計に対してかなり弱気で身構えていただけに、米景気が悪化していないことは日本株にプラスだと指摘。日米の関税交渉についても、何度も議論が重ねられている状況から判断して期待は残ると語った。
株式
株式は続伸し、日経平均の上げ幅は400円を超える場面があった。
アセットマネジメントOneの浅岡均チーフストラテジストは「米国株高によって投資家のリスク姿勢が改善」と述べ、きょうの上昇は円安が主因だとした。
腎臓病治療薬の試験結果が良好だったと発表した大塚ホールディングスなど医薬品株の上げが目立ち、ドル・円相場が前週末と比べて円安方向に振れていることを受けて電機など輸出関連、米金利上昇が追い風となった銀行や保険など金融株も高くなった。
債券
債券は下落。米国で雇用統計を受けて利下げ期待が後退し、長期金利が上昇した流れを引き継いで売りが優勢だった。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「長期金利が1.5%を下回ると売りが出やすくなる」と語る。超長期金利はピークを打ったとみるものの、20日の「国債市場特別参加者(PD)会合を前に上にも下にも動きにくい」と言う。同証では財務省は7月以降の国債発行額について、最低でも1回当たり30年債で2000億円、40年債で1000億円減額すると予想する。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、20年債、30年債、40年債を1回当たり1000億円ずつ減額するのが「最低ライン」と指摘。発行減額への期待で相場が持ち直しているだけに「これを下回ると短期的に失望売りを招く可能性もある」と話した。
日本銀行は午前の金融調節で定例の国債買い入れオペを実施。対象は残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下、25年超で、いずれも買い入れ額を据え置いた。25年超の応札倍率は2.11倍と昨年10月以来の低水準になり、発行減額期待による需要の強さを示した。
新発国債利回り(午後3時時点)
為替
円相場は1ドル=144円台前半に上昇。米雇用統計で賃金が予想を上回ったことによるドル買いが一巡し、米中の貿易協議に市場の関心が移る中、いったんドルを売る動きが出た。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、ドル・円は前週末に145円台の重さを確認したと述べた。仲値に向けては国内企業のドル買いがやや優勢だったとみられるが、その後再び上値が重くなり、米雇用統計を通過して投資家の様子見姿勢が強まっていると指摘。米中は貿易協議で「ある程度結果を出したいところで、どういった表明がなされるか注目」と語った。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:我妻綾、日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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