伊藤忠商事が、海外の製薬企業の日本市場参入を後押しする事業に乗り出す。複数の関係者が明らかにした。参入障壁となっている複雑な規制への対応を支援し、海外で承認された一部の新薬が日本に入ってこない「ドラッグロス」の軽減につなげる。

関係者によると、治験の支援事業を行う子会社エイツーヘルスケアが薬事申請や臨床試験に関する知見を生かしてコンサルティングや開発資金の支援を行う。例えば、治験に求められる要件や申請時に省略できる手続きなど、医薬品の種類に応じて最適な日本への導入方法を提案できるという。

新規事業開発を担う米国の子会社が新薬候補を探す。希少疾患向けの新薬や新興企業の製品を主にターゲットとしているという。市場調査や製造、物流などノウハウが少ない部分では、伊藤忠が持つネットワークを生かし、強みを持つ企業に引き合わせる。

伊藤忠はコメントを控えた。

厚生労働省の調査によると、欧米で承認されているが国内で開発されていない医薬品のうち、必要性が高いものは55品目に上る。ドラッグロス問題の解決には一定のニーズがあると見て、エイツーヘルスケアでは治験の新規受託を年に1、2件得る目標だ。

先進国で進む高齢化や経済成長が続くアジアでの医療サービス拡充など、ヘルスケア産業は世界的に市場拡大が見込まれる。伊藤忠は2005年に医薬品の開発支援に本格参入し、ヘルスケア分野の注力事業に位置付けてきた。

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