ニューヨーク市の上空には観光客や要人を乗せたヘリコプターが無数に飛び交っており、その騒音が消えることはおそらくないだろう。しかし、静音性に優れた代替手段を提供するスタートアップが、そうした状況に風穴を開けるかもしれない。

航空宇宙分野の新興企業ベータ・テクノロジーズは3日、電動の固定翼機による初の試験飛行を実施。提携先のブレード・エア・モビリティと顧客候補であるリパブリックエアウェイズ・ホールディングスの関係者を乗せ、ハンプトンズからジョン・F・ケネディ国際空港までの区間を飛んだ。

今回の飛行はあくまでデモンストレーションだが、ニューヨーク市内の空港に着陸する電動固定翼機としては初の事例になると、ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社は説明している。ベータのカイル・クラーク最高経営責任者(CEO)によると、旅客運航の認証取得は約1年後になる見通し。

同氏はインタビューで、電動航空機には「コストを大幅に削減し、排出ガスをゼロにするとともに、騒音も大きく低減できる可能性がある」と語った。

ジョビー・アビエーションやアーチャー・アビエーションといった他の航空スタートアップとは異なり、ベータは「空飛ぶタクシー」事業ではなく、物流や旅客輸送、軍事分野の事業者向けの機体販売を重視している。クラーク氏は、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)を含む顧客から、すでに約500機の受注を獲得していると述べた。

ブルームバーグは昨年、ベータがフィデリティ・インベストメンツ、カタール投資庁、TPG、アマゾン・ドット・コムなどから10億ドル超を調達したと報じていた。

原題:NYC’s Noisy Skies Get Electric With Beta’s Demo Flight Into JFK(抜粋)

--取材協力:Alicia Clanton、Brad Skillman.

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