トランプ米大統領は火星有人飛行への道を切り開くため民間企業を活用したい考えで、その構想はイーロン・マスク氏の目標と密接に連動している。

ホワイトハウスが5月30日に発表した2026会計年度の予算案では、米航空宇宙局(NASA)の新たなプログラム「商業火星ペイロードサービス(CMPS)」を含め、火星探査に10億ドル(約1440億円)余りを充てる方針が示された。これに基づき、NASAは宇宙服や通信システム、有人着陸機などを開発する企業と契約を結び、火星探査の促進を目指す。

トランプ政権の予算案でNASAへの割り当ては188億ドルと、前年度比で約25%の減少となり、特に科学プログラムの資金が大きく削られる

NASAのペトロ長官代行は予算要求に添えた書簡で、「われわれは納税者の資金管理に責任を持ち続ける必要がある。そのためには、非効率な取り組みの縮小や中止を含めた戦略的な決断が必要だ」との認識を示した。

CMPSは、NASAの「商業月ペイロードサービス(CLPS)」プログラムをモデルにしている。CLPSを巡っては、インテュイティブ・マシンズ、ファイアフライ・エアロスペース、アストロボティック・テクノロジーなどの企業がこれまで恩恵を受けてきたが、成果はまちまちだった。

予算案によると、火星着陸に関する契約は既存の着陸機契約がベースとなる。マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXはNASAの「アルテミス」計画の下、有人月面着陸に向けたロケット「スターシップ」の開発を進めている。マスク氏は先週、スペースXの従業員に対し、火星移住に関する壮大なビジョンを打ち出していた。

トランプ大統領がNASA長官に指名したテクノロジー業界の資産家ジャレッド・アイザックマン氏は、NASAは月と火星の探査ミッションを並行して推し進める可能性があると議会で説明した。

原題:Trump Wants $1 Billion for Private-Sector-Led Mars Exploration(抜粋)

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