資産家イーロン・マスク氏は28日、トランプ米大統領の公式助言役としての任期が間もなく終了することを明らかにした。マスク氏が率いてきた「政府効率化省(DOGE)」の今後の動向が注目される。

マスク氏は自身のSNS「X(旧ツイッター)」に「特別政府職員としての任期が終了するにあたり、無駄な歳出削減の機会を与えてくれたトランプ大統領に感謝したい」と投稿。「DOGEの使命は今後さらに強化され、政府全体で新たな行動規範として定着していくだろう」とした。

マスク氏の臨時政府職員としての任期は法律上、30日に終了する予定だが、実際の勤務日数に応じて調整される可能性がある。米政権当局者が匿名で語ったところによれば、マスク氏は28日夜に退任手続きを開始した。今回の決定はマスク氏の意思によるもので、トランプ氏の支持も得ているという。

マスク氏は最近のインタビューで、トランプ氏が政策の柱とする大型の税制・歳出法案「大きくて美しい法案」について、財政赤字の削減が不十分だと批判していた。

政府の規模縮小を目指すマスク氏の取り組みは、米政府関係者に衝撃を与えた。一部の連邦機関が廃止されたほか、数万人規模の政府職員が削減されたり、早期退職勧奨に応じたりした。ただ期待されたほどのコスト削減効果は得られなかった。

トランプ氏は当初、この取り組みの期限を2026年7月4日に設定し、DOGEに対して約1年半でマスク氏が掲げていた2兆ドル(約291兆円)の歳出削減にめどを付けるよう求めていた。だがその後、マスク氏は目標額を1兆ドルに引き下げ、さらに1500億ドルに縮小した。

一方、マスク氏の政治関与が注目を集める中で、その活動に反発も起きた。特にテスラをはじめとする同氏の企業への影響を懸念する声が、投資家の間で広がった。

原題:Musk Departs DOGE, Leaving Cost-Cutting Effort’s Legacy in Doubt(抜粋)

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