(ブルームバーグ):石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で構成されるOPECプラスは28日にオンライン形式の会合を開き、グループ全体の生産枠を維持した。週末には、7月に再び生産を引き上げるのか8カ国の主要構成国が最終決定する。
OPECプラスは現在の供給抑制の基としている今年と来年の長期的な目標を変更しない。複数の参加国代表が明らかにした。
ただ、市場への影響が大きいのは、日量41万1000バレルの生産引き上げを3カ月連続で実施するのかどうかだ。過去2カ月はこの大幅な生産回復で原油価格が急落した。非公開の協議内容だとして匿名を要請した複数の代表によると、31日のビデオ会議で7月の生産量を最終決定する。
こうした会合の構成は、過去2年間でOPECプラス全体の生産枠が持つ重要性が後退し、サウジアラビアとロシアが率いる8カ国のサブグループが実際の供給調整を行っているという実態を浮かび上がらせる。
4月3日に予定された規模の3倍の生産引き上げを発表し、市場に衝撃を与えたのも、この8カ国のグループだった。トランプ米大統領が大幅な関税引き上げを発表して世界的な貿易戦争を仕掛けた数時間後のことで、予想を大きく超える生産引き上げの発表を受けて原油先物はほぼ4年ぶりに1バレル=60ドルを下回った。
OPECプラスはこれまで価格の維持に努めてきたが、方針を転換させた格好となった。
それ以降、トランプ氏が一部の関税を撤回したため、ブレント原油先物は65ドル近辺で安定して推移している。

OPECプラスは2023年に日量約220万バレルの減産を実施。その後、段階的な回復に着手した。7月も同41万1000バレルの生産を引き上げれば、減産分の半分を回復させたことになる。このペースの引き上げを続ければ、10月までに減産以前の生産量に完全に戻る。
OPECプラスが市場シェアの奪還を本気で目指すのであれば、28日の協議で基調的な生産枠の変更が提案される可能性もある。サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は土壇場で予想外の提案をすることで知られるが、今のところそのような案が提起されている兆しはない。
原題:OPEC+ to Maintain Group Quotas Ahead of July Output Decision (2)(抜粋)
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