27日の金融市場では世界的に債券相場が上昇。債券投資家の間に安堵(あんど)感が広がった。

財政見通し悪化や関税を巡る緊張の高まりで売られていた期間の長い債券に、数週間ぶりに投資家が回帰。米30年債利回りは、1日としては3月下旬以来最大の低下を記録した。

日本の財務省が国債市場の混乱を受け、国債発行額についてアンケートを市場参加者に送付していたと報じられ、日本の当局が借り入れ計画の見直しを検討している可能性が意識された。

2年債入札(発行額:690億ドル)が堅調な内容になったことも相場の追い風となった。

トランプ米大統領が関税措置を相次ぎ発表したほか、同氏が推進する税制・歳出法案の修正案を下院が可決したことを受け、直近では投資家心理が悪化。安全資産としての地位が疑問視される中、投資家はここ数週間、長期債から身を引いていた。

ヌビーンの債券戦略責任者トニー・ロドリゲス氏はブルームバーグテレビジョンで、「少し楽観的な見方が強まっている。確かに市場は落ち着いてきている」とコメント。それでも「不確実性が非常に高いため、非常に不安定なレンジに入っている」と説明した。

日本当局は超長期金利の急上昇を受けて、債務計画の見直しを検討していることを示唆した。巨額の財政赤字を抱える政府の資金調達能力に対する懸念がここ数日間に先進国の国債に圧力をかけ、米長期金利は2007年以来の水準に向けて押し上げられていた。

日米の30年債利回り

ペッパーストーン・グループの上級調査ストラテジスト、マイケル・ブラウン氏は「発行額減少の思惑が、米国債に追い風となっている」と指摘。「日本国債の供給減少は、長期債の買い手を米国債市場に向かわせる可能性が高い」と述べた。

Brian Fowler記者が日本国債についてリポート

日本以外でも既に国債の発行を短期債にシフトしている国がある。英国は需要低下を受けて長期国債の発行を控える方針を続けており、この戦略については27日にフィナンシャル・タイムズに掲載されたインタビューで、債務管理担当責任者のジェシカ・プーレイ氏が改めて確認した。

英30年債利回りは連休明けの27日に一時9bp低下したが、その後は低下幅を縮小。同様の年限のドイツ国債利回りは7bp低下し、3%を下回った。

一時的な安堵感

日本政府が国債の発行量を削減する可能性は、需要に関する懸念の一部を和らげる可能性がある。しかし、これは財政赤字のファイナンスを巡る世界的な懸念を解消するわけではなく、27日の国債相場反発は混乱の中での一時的な現象にとどまる可能性がある。

日本国債市場では、日本銀行が巨額の政府債券保有をさらに縮小する可能性もあり、圧力が強まっている。

INGグループのシニア金利ストラテジスト、ベンジャミン・シュローダー氏は「長期債利回りは若干の安堵(あんど)感を示しているが、今後数週間から数カ月に、米国債利回りが弱気なトレンドから脱却するのは特に難しいだろう」と述べた上で、「財政動向は依然として重要だ」と続けた。

米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを最上位から引き下げて以来、米国債市場に注目が集まっている。この混乱は、トランプ大統領が推進する大型の税制・歳出法案の修正案を下院が可決したことでさらに悪化した。同法案には、債務上限を4兆ドル(約574兆円)引き上げる条項も盛り込まれている。

将来の米政府債務拡大計画に対する投資家の不安感を反映する10年債のタームプレミアムは、2014年以来の高水準に近づいている。

オンライン証券会社XTBの調査ディレクター、キャスリーン・ブルックス氏は、利回りの低下により米30年債利回りが5%を再び下回ったことについて「心理的に重要だ」と述べ、「リスク選好の機運が高まっている」と語った。

原題:US 30-Year Yield Falls Most Since March as Investors Lured Back,Global Bonds Rally as Japan Looks to Stabilize Its Debt Market(抜粋)

(相場の動きなどを追加して更新します)

--取材協力:James Hirai.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.