(ブルームバーグ):ドイツはイスラエルに対する兵器輸出に制限を設けることを検討している。パレスチナ自治区ガザで民間人が被っている被害の大きさに懸念が生じているためで、ドイツはイスラエルにとって最大の兵器供給国の一つであるだけに、大きな方針転換となる。
メルツ首相は27日、ドイツはイスラエル支援を続けるが、その規模は政府内で議論されることになると、訪問先のフィンランド・トゥルクで発言。議論される具体的な提案内容や時期は明示せず、決定が公にされることもないだろうと付け加えた。

「民間人の甚大な被害にがくぜんとしている」とメルツ氏は述べ、「イスラエル軍はガザ地区で大規模な軍事攻撃を行っているが、これがテロとの戦いや人質解放の目標にどう役立つのか、自分にはもはや理解できない」と続けた。
メルツ氏は今月初めの首相就任以来、ショルツ前首相よりもイスラエルに対して批判的な姿勢を取っている。この姿勢は国内の圧力に対応するとともに、欧州他国と足並みをそろえるものでもある。トランプ政権下の米国と緊張が高まり、ロシアがウクライナ侵攻を継続する中で、メルツ氏は欧州内の連帯を強めようとしている。
ドイツはナチス時代に行った大虐殺への贖罪(しょくざい)意識から、イスラエル保護を国家的な義務と捉え、強力な支援を続けてきた。同国ではイスラエルへの批判は反ユダヤ主義と同一視されることも多く、いかなる政策転換も複雑な問題となる。
「今起きていることは、もはや理解できないと公に言わなければならない時が来たように思う」とメルツ氏は語った。
1年7カ月以上にわたる戦争で最終的な勝利を目指すイスラエルは、ガザ制圧と民間人の南部緩衝地帯への移動、イスラム組織ハマスが拘束する残る58人の解放を軍に命じた。
一方、人道支援の封鎖や、飢えに苦しみ負傷した子供や医療施設空爆の映像はドイツに衝撃をもたらした。ターゲスシュピーゲル紙の委託でCiveyが行った調査によると、ドイツがイスラエルに兵器を輸出するのは間違っているとの解答が半数を超えた。議会内の反対も増している。
原題:Germany Weighs Curbs on Israel Weapons Exports on Gaza Concerns(抜粋)
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