(ブルームバーグ):英金融大手HSBCホールディングスがここ数日で二十数人余りのアナリストを減らした。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社は投資銀行部門の再編を進めている。
非公開情報だとして匿名を条件に話した関係者によると、今回の人員削減にはドバイ在勤の債券調査グローバル責任者、スティーブン・メージャー氏も含まれている。欧州を中心に削減が行われたという。
関係者のうち1人によれば、この大規模な見直しの一環として、HSBCは為替や債券など資産クラスにわたってマクロ戦略を統合。新興国市場調査のグローバル責任者、ムラト・ウルゲン氏がマクロ戦略の暫定責任者を務めるという。

また、エリオット・カンプリソン、ラジ・シンハ両氏はグローバル株式調査の共同責任者に就任し、ジャネット・ヘンリー氏は引き続きグローバル経済チームを率いると、この関係者は述べた。
HSBCはウォール街でも有数の充実したリサーチ体制を誇ってきた。最近の人員削減前、同社は330人を超えるアナリストやアソシエートを擁し、年間1万2000本以上のリポートを作成していると明らかにしていた。株式だけでも、世界で約2000社をカバーしていた。
だが、HSBCも他社と同様にリサーチ部門の人員を削減する動きに加わった。特に株式調査を巡っては、リサーチ提供の料金規制やインデックスファンド人気の高まりなどで、ウォール街の金融大手が株式アナリストを30%余り削減したと、ブルームバーグは以前報じた。
ジョルジュ・エレデリー最高経営責任者(CEO)は効率化に向けて、組織のスリム化を図っている。昨年9月の就任以降、商業銀行と投資銀行部門の統合に加え、英国・香港での業務の独立運営を推進。米国や英国、欧州大陸でのM&A(合併・買収)や株式引受業務の大半も閉鎖している。
関係者の1人によると、HSBCは今後も英国と欧州大陸に一部の株式アナリストを配置する方針だが、フルサービスの投資銀行業務を継続するアジアや中東、その他の新興国で事業を展開する多国籍企業の分析を担当することになるという。
HSBCの広報担当者は電子メールの資料で、「当社のグローバルリサーチや株式セールス、トレーディング事業はコーポレート・インスティテューショナルバンキングの中核だ」と回答。メージャー氏はリンクトインでのコメント要請に応じなかった。
HSBCのロンドン上場株は年初来で10%余り上昇している。だが、収益の多くをアジアから得ている同社は、世界的な関税戦争や米中対立による影響を受けやすい状況にある。
原題:HSBC Cuts Dozens of Analysts in Overhaul of Global Research (1)(抜粋)
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