財務省が投資家を含む幅広い国債市場参加者を対象に、国債の発行額についてアンケートを送付していることが分かった。超長期債は連日で大幅上昇(金利は低下)し、警戒感があった28日の40年国債入札には一転して楽観論が浮上している。

アンケートは財務省から26日にメールで送付された。例年6月に開く国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合のメンバーだけでなく、通常この時期には開催しない国債投資家懇談会のメンバーや、それ以外の機関投資家も対象に含まれた。国債の年限ごとにどの程度の発行額が適当かを質問しているほか、現在の市場状況についてコメントを求めている。複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。

財務省の担当者はブルームバーグの取材に対し、コメントを控えた。

27日の債券市場では、先週に過去最高を更新した新発40年債と30年債の利回りが前日比20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上低下。20年債利回りも19.5bp低下した。金利低下を受けて東京外国為替市場では円が売られた。

ソシエテ・ジェネラルの金利ストラテジストのスティーブン・スプラット氏は、「日本国債の長期ゾーンでの力強い値上がりが、米国債市場にも波及している」と指摘。アジア時間の取引で米国やオーストラリアの国債利回りも低下している。

 

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、8日に開かれた国の債務管理に関する研究会でも超長期債の発行額について議論されており、財務省や市場参加者の問題意識の高まりが異例のアンケート送付につながったと分析。「年度途中に超長期債の発行額が減額される可能性が出てきた」とみる。

住友生命保険の増田光男執行役員は26日の決算会見で、生保は規制対応がほぼ終了する一方で、国債発行額はほぼ変わらずで推移しており、「需給の構図は明らかに変わってきている」と指摘。「こちらとしては、発行年限ごとの調整はお願いできればという立場ではある」と述べた。

40年債入札

財務省は28日、40年利付国債入札を行う。20日の20年債入札が記録的な不調に終わって以降、超長期債は不安定さを増していたが、需給改善への期待が高まったことで入札は波乱なく消化されるとの見方が出ている。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、3日間で超長期金利が大きく低下したことはネガティブ要因とした上で、地合いの好転というポジティブ要因が勝り「無難に消化される」と話す。

東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストも「結構良い入札になる」と予想する。40年債入札は今年度から1回当たりの発行額が7000億円程度から5000億円程度に減額される。利回りの低い順に落札し、入札金額が発行予定額に達した時点で最も高い入札利回りを一律に適用する「イールドダッチ方式」が採用されていることも好材料だ。

(1段落以降に40年債入札に関するコメントなどを追記します)

--取材協力:グラス美亜、山中英典、梅川崇、佐野七緒、Ruth Carson、Masaki Kondo.

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