米ゴールドマン・サックス・グループが支援するデンマークのエネルギー商社インコモディティーズは、アジア電力市場の発展を見据え、年内に同地域でのさらなる事業拡大を計画している。

同社はデンマーク第2の都市オーフスで2017年に創業。24年にはシンガポールとシドニー、東京にオフィスを開設した。イェスパー・ヨハンソン会長によると、アジア太平洋地域の従業員数は現在の17人から、年末までに最大30人に増える可能性があるという。

アジア太平洋地域の電力市場は、インコモディティーズが取引を開始した欧州市場よりもはるかに遅れている。オーストラリアには大規模な市場が存在する一方で、プレーヤーは比較的少なく、新規参入の余地が大きい。ただ、欧州と同様に、送電網の制約や老朽化した石炭火力発電所の定期的な停止、再生可能エネルギーの発電量が多い時期における電力価格のマイナス化といった不確実性もある。

一方、日本の電力先物は、世界最大の電力取引所である欧州エネルギー取引所(EEX)で最も伸びが目立つ。ドイツなどの成熟市場と比べれば取引量はまだ少ないものの、日本の電力デリバティブ(金融派生商品)取引は昨年4倍に増加したとEEXは明らかにしている。

ヨハンソン氏は26日に公表された年次報告書に関連したインタビューで、「アジア太平洋地域で当社が注力しているのは電力分野だ。当社の強みは、大量のデータと分析力を用いて需給を予測し、価格がバランスを崩したときに行動することにある」と語った。

年次報告書によると、昨年の税引き前利益は47%減の7250万ユーロ(約117億7000万円)だった。25年の税引き前利益については、8500万-1億9500万ユーロを見込んでいる。

原題:Danish Energy Trader InCommodities Eyes Asia for Power Expansion(抜粋)

(関連記事を追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.