トランプ米大統領は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長との電話会談後、欧州連合(EU)に対する50%の関税発動期限を7月9日まで延長すると表明した。

トランプ氏は25日、ワシントンに戻る途中で記者団に対し、「非常に良い電話会談だった」とし、期限延長に同意したと明かした。

フォンデアライエン氏は同日、X(旧ツイッター)への投稿で「欧州は迅速かつ断固とした姿勢で交渉を進める用意がある」としつつ、「良い合意」には「7月9日までの時間」が必要だと述べていた。7月9日はトランプ氏が上乗せ関税の発動を90日間猶予するとしていた期の終了日。

EUは4月に発表された上乗せ関税措置の下で20%の関税対象となる予定だったが、暫定的な猶予措置により7月9日までは10%に引き下げられていた。

ただ、トランプ氏は23日、EUとの交渉が引き延ばされていると非難したほか、米企業が訴訟や規制によって不当に標的にされているとし、50%の関税を課すと警告していた。

トランプ氏が対EU関税の発動期限を延長すると表明したことを受け、アジア時間序盤の取引で、米株価指数先物は上昇。前週末23日に2023年12月以来の安値を付けていたブルームバーグ・ドル・スポット指数は上下動している。

EU側は、トランプ氏が通商交渉で何を求めているのか理解に苦しんでいる。EU当局者らは多くの商品に対する関税を相互にゼロに引き下げることを提案しているが、トランプ氏は「非関税障壁」に重点を置いている。

フォルケンダー米財務副長官はFOXニュースの番組「サンデー・モーニング・フューチャーズ」で、米国は関税に関してEU全体と交渉する一方で、非関税障壁の多くは欧州各国と個別に対応するという「同時進行の課題」に直面しており、「交渉の問題」が生じていると述べた。

EUは先週、交渉の活性化を図って米国に新たな貿易提案を提示。EUのセフショビチ欧州委員(通商担当)は23日、グリア米通商代表部(USTR)代表と電話会談を実施した。

情報が非公開だとして匿名を条件に話した関係者によると、EUの新たな交渉枠組みは関税および非関税障壁に加え、経済安全保障、相互投資、戦略的購入、グローバルな課題への協力強化も含まれているという。

トランプ氏は25日、米国に繊維産業を戻す必要はないとのベッセント財務長官の発言に同意すると指摘。「われわれはスニーカーやTシャツを作ろうとしているのではなく、軍装備品の製造を望んでいる」とし、米国内での半導体製造やコンピューター、人工知能(AI)開発などを目指していると語った。

原題:Trump Extends Deadline for 50% Tariffs on EU Goods to July 9 (2)(抜粋)

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