(ブルームバーグ):米ニューヨーク州のホークル知事(民主党)は、州内に原子炉を建設する計画の迅速な承認を後押しするようホワイトハウスに働きかけている。
ホークル氏は10日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、現行の連邦政府の承認プロセスでは決定まで最長7年を要する可能性があるとし、手続き加速を巡りトランプ大統領と連絡を取っていると語った。知事は今年6月、少なくとも1ギガワットの原子力発電容量を追加する目標を示していた。
ニューヨーク州は人工知能(AI)向けデータセンターなどにより急増する電力需要への対応を急いでおり、原子力の活用に前向きな姿勢を示している。ただ、原子力発電には長く複雑な承認手続きに加え、過去の計画でコストが膨張したため投資家が慎重になっているといった問題がある。ホークル氏は、大統領がこうした懸念に対処することを期待していると述べた。
ホークル氏は、自分も州の手続きを簡素化するので、連邦政府の手続きを簡素化してほしいと大統領に伝えたと説明した。
ホワイトハウスはホークル氏の要請に関する問い合わせにすぐには応じなかった。

トランプ氏は米国のエネルギー自立性を高める重要な手段として原子力を支持している。一方で他のクリーンエネルギーには否定的で、特に洋上風力発電には強く反対している。トランプ政権は5月にロングアイランド沖で計画されていた50億ドル(約7370億円)規模の風力発電所建設を停止するよう命じ、ホークル氏は大統領との交渉を余儀なくされた。
ホークル氏が新炉建設計画を推進する一方、2021年に閉鎖されたインディアンポイント原発を所有するホルテック・インターナショナルは同原発の再稼働を検討している。ホルテックは10日、最大100億ドルの費用が見込まれるものの、再稼働は可能だと表明した。同原発はニューヨーク市近郊にある。
ただ知事報道官は、インディアンポイント原発については廃炉作業を進めることに州は重点を置いていると説明。ホークル氏の原子力戦略は州北部地域の新炉建設を中心に据えていると述べた。
原題:Hochul Pushing Trump to Fast-Track New York Nuclear Plan (1)(抜粋)
--取材協力:Jennifer A Dlouhy.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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