(ブルームバーグ):ESG(環境・社会・企業統治)運用大手インパックス・アセット・マネジメントのイアン・シム最高経営責任者(CEO)は、同社の管理する資産残高がこれ以上減少する可能性は低いとの見通しを示した。同社は顧客による資金引き揚げを受けて立て直しを図っている。
同社の半期報告によると、3月31日までの6カ月の純流出額は100億ポンド(約1兆9000億円)余りに上った。このうち62億ポンドは、セント・ジェームズ・プレースによる引き揚げ分だった。
これによりインパックスの運用資産残高は2023年のピーク時から3分の1程度減少し、250億ポンド強となった。
シム氏はインタビューで、こうした資金流出を経て同社は今年9月までの運用資産について「ほぼ横ばい」の推移を見込んでいると話した。
1998年の創業以来、安定成長を続けてきた同社にとって、この半年間は厳しい時期となった。
低炭素移行に関連する株式を重視してきたのに加えテック大手活況の波にも乗り遅れ、パフォーマンスの低迷が長引く結果となった。
半期報告によると、セント・ジェームズ・プレース以外では、BNPパリバ・アセットマネジメント向けのファンドでも資金流出が目立った。インパックスの収益の39%を占める北米の顧客からも、大規模な解約が発生した。
政治的な逆風が脅威
クリーンエネルギー移行に関連する資産の見通しは不透明なままだ。その多くは長期の売りにさらされ評価額を下げており、米国での政治的な逆風は引き続き大きな脅威となっている。
米下院は先週、バイデン前政権下で導入されたグリーン関連の支援を大幅に縮小する法案を可決。投資家が太陽光や風力発電関連の銘柄から手を引く動きが加速した。法案は上院に送られるが、先行きは不透明だ。
「米国の税制法案は、米経済の方向性に対する信頼感の観点から見て極めて重要だ」とシム氏は語る。
トランプ大統領の2期目就任に伴う市場の混乱は、実際には株式市場におけるテック大手の支配的地位を打ち崩す助けになったと指摘。その結果、他の投資戦略が台頭する余地が生まれているという。
「過去数年間人気がなかったわれわれの主要戦略は、現在魅力的な価格水準に見える」と同氏は指摘している。
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原題:Impax CEO Says Worst Is Over After Clients Pull $14 Billion(抜粋)
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