(ブルームバーグ):米金融当局はトランプ大統領の関税措置がまだ公式のインフレ統計の数値を大幅に押し上げていないことに安堵(あんど)するだろう。だが当局者は、米通商政策の今後の影響について理解を深めるまで、政策金利を据え置くと引き続き示唆する見通しだ。
米商務省は30日に4月の個人消費支出(PCE)価格指数を発表する。ブルームバーグのエコノミスト調査に基づけば、変動の大きい食料とエネルギーを除くコア指数は前月比0.1%上昇が見込まれている。3月は変わらずだった。

トランプ政権の関税措置が4月の物価統計に及ぼす影響は小幅と予想される一方、通商政策の影響は翌月にも一段と顕在化すると見通しだと、エコノミストの多くはみている。労働市場には明白なストレスの兆候がほとんど見られないことで、米金融当局者は通商政策の変更がデータに反映されるまで、金利据え置きが適切と判断すると見込まれる。
連邦準備制度理事会(FRB)は28日に今月6、7両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨を公表する。米金融当局者ではパウエルFRB議長が25日に母校のプリンストン大学の学士号授与式でスピーチするほか、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁やニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も今週、発言機会が予定されている。
関税賦課がコストを押し上げ、消費者のセンチメントに重しとなることで、多くの企業が見通しに慎重姿勢を強めており、米経済成長は年内を通じて鈍化すると予想されている。
4月のPCEは鈍化が見込まれている。これは4-6月(第2四半期)のスタートに当たり、家計支出の一段の抑制を示唆し、個人の家計状況や労働市場に対する不安の高まりを反映するものだ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏らは「インフレや支出の鈍化にもかかわらず、FOMCの当局者らは当面の間、政策金利を据え置く方針を示唆する可能性が高い」と指摘する。
その上で、「今後1週間に予定されているパウエル議長をはじめとする多数のFOMC参加者の共通のメッセージは、金融当局としてインフレ期待を確実に抑制するというものだろう」との見通しを示した。
26日はメモリアルデーの祝日のため米市場は休場となる。主な統計では27日に4月の米耐久財受注、29日に1-3月(第1四半期)の米実質GDP(国内総生産)改定値が発表され、5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数(27日)、5月のミシガン大学消費者マインド指数(30日)の発表も予定されている。
このほか、27日に4月の中国工業利益が発表され、30日には総務省が5月の東京都区部消費者物価指数(CPI)を発表する。また中央銀行の政策金利では、ニュージーランド準備銀行が28日に0.25ポイント引き下げて3.25%とし、韓国銀行は29日に0.25ポイント引き下げて2.5%とする決定をそれぞれ下すと見込まれている。

原題:Fed to Take in Stride Another Month of Tame Inflation: Eco Week(抜粋)
--取材協力:Mark Evans、Robert Jameson、Laura Dhillon Kane、Katia Dmitrieva、Monique Vanek、Piotr Skolimowski、Carla Canivete.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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