(ブルームバーグ):経営破綻した米遺伝子検査サービス企業、23andMe(トゥウェンティー・スリー・アンド・ミー)は、約1500万人のDNAサンプルを含むデータベースをバイオ医薬品メーカーのリジェネロン・ファーマシューティカルズに2億5600万ドル(約370億円)で売却することで合意した。
23andMeは、顧客から唾液サンプルを収集し長年かけて蓄積した遺伝子データについて、保護するよう顧客や政府当局者に求められていた。リジェネロンは、23andMeの個人情報保護方針を順守するとした。顧客からデータ削除の要請があれば、応じなければならない。
リジェネロンの共同創業者、ジョージ・ヤンコポロス社長は19日の発表資料で、「当社は、大規模なデータ管理で豊富な経験を有している」とし、「世界中の人々の遺伝子データを保護し、その同意を得て、科学と社会に利益をもたらす創薬を追求するためにこのデータを活用する上で実績がある」とコメントした。
23andMeは3月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請。2つの主要サービスに約55万人が登録していたが、同社を存続させるには不十分だった。そのうちの1つであるオンラインのヘルスケアサービス事業「レモネード・ヘルス」は売却対象外であり、清算されると同社は発表資料で説明した。
連邦破産法11条に基づく手続きの一環として、顧客が提出した遺伝物質に関する保護方針が順守されるよう売却プロセスを監視するオンブズマンの任命が判事によって承認された。そうした遺伝物質とそれに基づいて生成されたデータは、23andMeの最も価値のある資産だった。
リジェネロンは、データベース取得が完了次第、23andMeの個人向け遺伝子検査サービスを継続する。売却完了には裁判所の承認が必要。
23andMeは2023年のハッカー攻撃によるデータ流出で個人情報が漏えいしてから、集団訴訟への対応に追われ、破産申請までの数カ月間は身売り先を探していた。同社は破産手続きの一環としてこれら訴訟の決着を図る方針だ。
原題:23andMe Sells Gene-Testing Business to DNA Drug Maker Regeneron(抜粋)
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