(ブルームバーグ):トランプ米大統領は19日、本人の同意なくオンライン上に公開された露骨な性的画像の削除をソーシャルメディア企業に義務付ける法案に署名した。顔写真などを利用して人工知能(AI)技術で作成されたディープフェイク画像も対象となる。
トランプ氏はホワイトハウスのローズガーデンで行われた署名式で、「AIによる画像生成の台頭に伴い、ディープフェイクやその他の露骨な画像が本人の意思に反して拡散され、数え切れないほどの女性が嫌がらせを受けてきた」と指摘。こうした状況は「ひどく間違っている」と批判した。
トランプ氏は、この法律では「被写体の同意なしに露骨な画像を意図的に拡散した者には、最長3年の禁錮刑が科される。さらに、この法律は要請に応じて速やかにこれら画像を削除することを拒否したオンラインプラットフォームに対して、新たな民事責任を課すことになる。われわれはオンライン上での性的搾取を容認しない」と述べた。
「テイク・イット・ダウン法(Take It Down Act)」と呼ばれる同法は、AIを用いて合成されたディープフェイク画像を含む性的コンテンツを本人の同意なしに公開することを犯罪と定める。ソーシャルメディアやウェブサイトの運営会社は、被害者の要請から48時間以内に該当コンテンツを削除し、拡散を防ぐために画像のコピーも削除するよう努めることが義務付けられる。
この法案は共和・民主両党の圧倒的な支持を得て可決された。連邦議会がオンラインコンテンツの取り締まりを目的とする法案を承認するのは異例だ。同法案の支持者であるメラニア夫人とトランプ大統領が今回の立法化を後押しした。トランプ氏は3月に行われた議会演説で同法案の成立を強く訴えていた。
フェイスブックやインスタグラムを運営するメタ・プラットフォームズやグーグル親会社のアルファベットなど、大手テクノロジー企業もこの法案への支持を表明。署名式には、X(旧ツイッター)のリンダ・ヤッカリーノ最高経営責任者(CEO)も出席した。
同法案を巡っては、オンライン上の言論の自由を脅かす可能性があるとの懸念の声も上がっている。一方、支持者らは、法案の文言は米憲法修正第1条で保障されている言論の自由などを尊重するよう慎重に調整されていると主張している。リベンジポルノやディープフェイクの拡散が急増する中、時代遅れとの批判もある現行法では、捜査当局が対応に苦慮していた。
原題:Trump Signs Bill Cracking Down on Deepfake Revenge Porn(抜粋)
--取材協力:Catherine Lucey.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.