(ブルームバーグ):トランプ米大統領による関税引き上げで市場が混乱した4月、アジア拠点のヘッジファンドは一部が大幅なリターンを記録した一方、深刻な損失を被るファンドもあった。
投資家向けニュースレターによると、ボラティリティーに着目する運用で知られるトゥルー・パートナー・ファンドの4月の成績はプラス5.3%と、過去5年余りで最も好調な月間パフォーマンスとなった。MYアルファ・マネジメントが運用する約7億ドル(約1015億円)規模の日本株ヘッジファンドはプラス6.5%だったと、事情に詳しい関係者が明らかにした。
一方、アレテ・マクロ・ファンドはマイナス9.2%と、2012年の運用開始以来で最悪の月となった。また、アリオス・チャイナ・グロース・ファンドはマイナス10%だったと関係者が述べた。
著しい成績格差は、トランプ氏による予測困難な政策運営に対し、ファンドマネジャーが対応に苦戦している現状を浮き彫りにする。トランプ氏は米「解放記念日」だとして貿易相手国に関税を発動した数時間後、その大半を対象に追加関税を90日間停止すると発表。この方針転換により、TOPIXや韓国総合株価指数などアジアの株価指数はV字回復し、ヘッジファンドはさらなる損失を回避できた。

トゥルー・パートナー・ファンドは、米国・アジア・欧州の上場株指数オプションを取引し、過小または過大評価されたボラティリティーを収益源としている。同ファンドは1-4月で計7.9%上昇したという。同ファンドは4月上旬の「解放記念日の発表後の下落局面で、大半の利益を上げた」と記している。
MYアルファはインフレの再来と企業統治改革の進展がM&A(企業買収)を後押しする中、日本企業のイベントに絡む取引で収益を上げた。4月の好調な成績により、年初からの累計リターンは9.6%となったと関係者は述べている。
アレテ・マクロ・ファンドは4月の不振により、今年の累積損失が10%に達したと、投資家向け報告書は伝えている。プラス18%近くと10年ぶり好成績だった2024年とは対照的。同年は政府の景気刺激策期待で中国株や米経済の力強さを背景にドルに賭けていた。
アリオスのファンドは3月は13.5%のリターンを記録していたが、4月に暗転。年初から4月末まででマイナス5.3%となった。
アリオス、MY、オーシャン・アレテの各社は、コメントを控えている。
原題:Hedge Fund Performance Gaps Widen in Asia After Tariff Upheaval(抜粋)
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