国内主要自動車各社の決算が14日までに出そろった。米国の関税政策により通期では数千億円規模で営業利益を押し下げると見込む会社もあり、改めて影響の大きさが浮き彫りとなった。

ホンダが13日、今期(2026年3月期)に関税影響で6500億円の減益要因を見込み、今期の営業利益予想は前期比59%減の5000億円とした。現時点で試算できる金額を全て反映したという。トヨタ自動車は4-5月だけで関税が営業利益を1800億円下押しするとの見通しを示した。一方、関税影響として最大4500億円を見込むとした日産自動車は通期の利益見通しについて公表しなかった。

米国販売のおよそ半分を日本からの輸出で賄うSUBARU(スバル)の大崎篤社長は14日の決算会見で、関税が年度を通じて続き何も策を講じない場合に同社が受ける影響は約25億ドル(約3700億円)との見通しを明らかにした。同社は関税政策の動向など不透明な状況が続いていることを理由に今期の業績見通しは見通しとした。国内自動車メーカーではマツダも通期の業績予想の公表を見送った。

世界最大の自動車市場である中国では比亜迪(BYD)など電気自動車(EV)を得意とする地場企業が勢力を増しており、日系自動車メーカーの多くは米国市場への依存度が高めている。そんな中でトランプ関税が直撃したことによる業績への影響は大きく、今後は米国と各国の関税交渉や各社の生産移転や値上げといった取り組みで影響をどこまで軽減できるかが焦点となる。

英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツのアナリスト、ジュリー・ブート氏は、コスト削減、米国での増産、サプライヤーとの交渉により関税影響を緩和できる可能性はあるが、「実際に実現するかどうかは不確実だ。従って今期の利益に大きな打撃を受けるリスクは高い」と指摘した。

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