14日の日本市場では株式が反落。外国為替相場が円高に振れたことや日米貿易交渉に対する警戒感が重しとなり、東証株価指数(TOPIX)は14営業日ぶりに下落した。円相場は一時1ドル=146円台後半に上昇した。

TOPIXは米中貿易交渉の進展などを受け、前日まで2009年以来の13日連続高となっていた。インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、相場上昇が続いてきたため、投資家の利益確定売りが出やすい状況と指摘。日本は米国との関税交渉でまだ合意に至っていないため、投資家は特に海外依存度の高い銘柄について慎重な姿勢を維持していると述べた。

武藤容治経済産業相は、韓国で15日開幕するアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当相会合を欠席する。出席を予定するグリア米通商代表部(USTR)代表との2国間協議の実現は難しくなる可能性がある。

株式

東京株式相場は下落。米ハイテク株高を受けて日経平均株価は高く始まったが、前日に心理的節目の3万8000円を回復し2月27日以来の高値で終えたことから、戻り待ちの売りなどが優勢となった。

ホンダと日産自動車が前日にネガティブな決算を発表したことも相場の重しとなり、自動車株が下落。医薬品や精密機器、化学なども安い。

個別の動きでは、昼休み中に決算を発表したソニーグループが上昇に転換。同社は金融子会社のソニーフィナンシャルグループ(SFGI)が東京証券取引所プライム市場に9月29日に上場する予定だと明らかにした。

為替

東京外国為替市場の円相場は上昇し、一時1ドル=146円台後半を付けた。4月の米国消費者物価指数(CPI)の下振れを受けたドル売りの流れに加えて、国内株安によるリスク回避の円買いや輸出企業などの円需要が指摘された。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、株価が売られていることや来週に加藤財務相とベッセント米財務長官の為替に関する協議が見込まれていることが、円の支えになっていると説明。ドル・円は週初に148円台後半と「目先の戻り高値を付けたので実需のドル売りも出やすい」と述べた。

関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、日本銀行の3月企業短期経済観測調査(短観)によると25年度の想定為替レートを147円前後に設定している企業が多いとし、同水準を超えたことで「安心してドル売りを出したようだ」と話した。

債券

債券相場は長期債が下落。米中の関税率引き下げ合意を受けた日銀の利上げ観測の復活が重しになった。

スワップ(OIS)市場が織り込む日銀の年内利上げ確率は7割程度に上昇。ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は、トランプ関税を巡る不透明感が和らぐと利上げ期待が復活しやすくなると指摘した。

りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは「現物債は強弱まちまちだった」と語る。前日に大きく売られた5年債の買い戻しが入ったほか、30年債入札が若干良かった超長期債は一部に買いが入る一方で、20日の20年債入札を前にした調整売りも出ていたと述べた。

日銀は午前の金融調節で国債買い入れオペを実施。対象は残存期間1年超3年以下、5年超10年以下、10年超25年以下で、買い入れ額はいずれも据え置いた。オペ結果によると、10年超25年以下の応札倍率は前回オペから低下した。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは超長期債について、財政支出拡張への懸念が根強いことや20年債、40年債と入札が続くこともあり、「厳しい状況は変わっていない」と指摘。「流動性の低さも解消されていない」とし、本格的な反転に懐疑的な見方を示した。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:アリス・フレンチ、長谷川敏郎、日高正裕.

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