(ブルームバーグ):決済アプリ大手のPayPay(ペイペイ)が新規株式公開(IPO)の準備を開始した。米国市場も視野に入れており、日本企業による米の新規上場で過去最大規模になる可能性がある。
ペイペイに出資する国内通信大手ソフトバンクの宮川潤一社長は8日の決算会見で、ペイペイの連結営業利益が通期で黒字化し上場準備を開始したと述べた。ソフトバンクグループの後藤芳光最高財務責任者(CFO)は、市場環境で決定されるとした上で今年か来年にも上場する可能性があると13日の決算会見で語った。
同社のIPOについてはこれまでも言及がされてきた。準備が順調に進めば、日本企業による米国の新規上場で最大となるかもしれない。ブルームバーグのデータによると、現Aホールディングスが2016年に8億9500万ドル(約1320億円)で米IPOを実施した。

三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明エグゼクティブファンドマネジャーは、ペイペイの時価総額は1兆5000億円ほどになるとみており、クレジットカードや銀行といった金融サービス事業の拡大という成長シナリオも加味すればさらに高い評価を受けるだろうと言う。1兆5000億円という試算に基づけば、10%のみの株式売り出しでも現AホールディングスのIPO規模を上回る計算だ。
ペイペイは国内のQRコード決済サービスで高いシェアを有する。通信や決済などモバイル分野を専門とする調査会社、MMD研究所の1月の調査によると、QR決済では65%がペイペイを利用していると回答。続く楽天ペイの36%を大きく離す。そのため、投資家らはペイペイのクレジットカードや企業間決済サービスがどこまでシェアを拡大できるかに関心を寄せている。
国内でも上場すれば個人投資家の需要も集めそうだ。GCIアセット・マネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、ペイペイは個人にもよく知られるサービスで、東京地下鉄(東京メトロ)のように手掛けやすいIPOになるとみる。グローバルでのシェア拡大や企業間決済など送金サービスの拡充が成長の鍵で、成長性のある企業の上場は資本市場にとってプラスだの見解も示した。
--取材協力:Min Jeong Lee.
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