8日の日本市場では株式が上昇し、東証株価指数(TOPIX)は10日続伸と2017年10月以来の長期連騰を記録した。米国の輸出規制緩和への期待から半導体関連株の買いが優勢だった。

トランプ米政権はバイデン前政権が打ち出した人工知能(AI)向け半導体の輸出規制強化を撤回する方針だとブルームバーグが報じ、東京エレクトロンやディスコなど関連銘柄が上昇した。

債券は10年国債入札の弱い結果を受けて長期債を中心に下落。円相場は対ドルで144円台に下げた。

株式

株式相場は上昇。個別銘柄では、1500億円を上限とする自己株取得を発表した日本郵船が買われたほか、NTTが完全子会社化をきょう決議すると発表したNTTデータグループが急伸した。

MCPアセット・マネジメントの大塚理恵子ストラテジストは、「不透明感が高い中でも、株主還元は相応に前向きに取り組んでいく姿勢を示す企業が結構多い印象」とし、日本株の底堅さの一因になっていると述べた。一方、企業決算や米中の通商交渉の進展は既に織り込まれつつあり、短期的には上値の重さが意識されてくるタイミングと話した。

債券

債券相場は下落。この日の10年利付国債入札が低調な結果となり、長期債や先物を中心に売りが膨らんだ。

みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは、入札について「このタイミングで10年債をまとまった金額で買う必要性が主要投資家にはなかっただろう」と指摘。その上で、「大口投資家が10年や超長期セクターの利回りを抑える状況にないとの印象が強まると、多くの投資家は一層慎重になる」との見方を示した。

入札結果によると、最低落札価格は100円92銭と市場予想101円10銭を下回り、大きいと不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は18銭と、前回の11銭から拡大した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.54倍と2021年10月以来の低水準となった。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は対ドルで144円台に下落。トランプ米政権が英国との貿易合意を発表するとの報道を受けた英ポンド買い・ドル売りが巻き戻され、ドルが全般的に買われている。日本株の上昇もリスク選好の円売りを促した。

みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、貿易合意の報道でいったん英ポンド買い・ドル売りが強まったが、イングランド銀行(英中央銀行)の利下げが今晩見込まれる中で、貿易合意だけではポンドを買い進めづらいのではないかと述べた。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:船曳三郎、横山桃花、我妻綾.

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