(ブルームバーグ):トランプ米大統領は、次期医務総監にケイシー・ミーンズ氏を指名すると発表した。先に指名したジャネット・ネシェワット氏は指名承認公聴会直前にホワイトハウスが指名を撤回していた。
トランプ氏は自身のソーシャルネットワークであるトゥルース・ソーシャルでミーンズ氏の指名を公表した。同氏は、ケネディ厚生長官の側近カリー・ミーンズ氏の実妹。
ブルームバーグは事情に詳しい関係者の話を基に、ホワイトハウスがネシェワット氏の指名を撤回したと先に報じていた。トランプ氏は、ネシェワット氏が厚生省の別の役職に就く予定だと述べた。
医務総監室は、医療情報や疾病予防に関する啓発活動などを行う役割を担う。反喫煙運動の推進役としても知られる。
トランプ氏は声明で、ミーンズ兄妹が広めるのに貢献してきた「米国を再び健康に(MAHA)」運動に言及し、「ケイシーにはMAHAの理念にふさわしい、申し分のない実績がある」と述べ、「その学術的な業績と人生をかけた取り組みは共に傑出している」と称賛した。
ケイシー・ミーンズ氏はコメントを控えた。
37歳の同氏はスタンフォード大学医学部で医学博士号を取得したが、外科医としての研修は途中で辞めた。その後、アンドリーセン・ホロウィッツが出資する定額制アプリ「レベルズ・ヘルス」の共同創業者となった。同アプリは、利用者がウエアラブル型の血糖測定器を通じて健康データを把握できるサービスを提供している。
新型コロナウイルス禍のさなかに、ミーンズ兄妹の母親が膵臓(すいぞう)がんのステージ4と診断されてからわずか13日後に亡くなった。この経験がきっかけとなり、兄妹は米国の「ゆがんだ医療インセンティブ構造」を是正しようと志すようになったという。
2人は共著で「GOOD ENERGY(グッドエナジー) セルフケアでつくる最強の『代謝力』(邦題)」を出版。タッカー・カールソン・ショーなど右派系ポッドキャストで主張を発信している。同書はトランプ氏の選挙陣営の一部スタッフの間でも人気を集めていた。
ケイシー・ミーンズ氏は製薬業界批判の急先鋒として知られ、製薬会社が自社製品をテレビで一般消費者に直接広告することを禁じるべきだと主張してきた。加工食品やジャンクフードなどを大量生産する大手企業にも批判的な立場をとり、超加工食品への警告表示を求めている。
ネシェワット氏からコメントは得られていない。ホワイトハウスと厚生省の報道官はコメントを控えた。
原題:Trump Taps Means as Surgeon General After Pulling First Pick (1)(抜粋)
--取材協力:Rachel Cohrs Zhang.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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