ブラジルのルラ大統領は、エスカレートする米中の貿易戦争でどちらか一方にくみするつもりはないとの考えを示した。米中の対立激化により、両国を主要な貿易相手としているブラジルなどにはどちらかを選ぶよう圧力がかかっている。

ルラ氏はチリのボリッチ大統領と共に参加したブラジリアでのイベントで、「冷戦は望んでいない。米国と中国のどちらかを選ぶつもりはない」と発言。「私は両国と関係を築きたいと考えており、どちらかを優先したいとは思わない。どことでも貿易を行いたい」と述べた。

米中両国は中南米での影響力拡大を目指して経済・外交面の働き掛けを強化しており、同地域は両国の主戦場となりつつある。

ブラジルのルラ大統領(左)とチリのボリッチ大統領

ブラジルは長年、農産物の主要輸出先である中国との関係強化を図る一方で、米国との強固な政治・貿易関係を維持するバランス外交を展開してきた。対中貿易は着実に拡大しており、昨年は総額約1580億ドル(約22兆4300億円)と、対米貿易のほぼ2倍に達した。

ルラ大統領は中国との農業・投資面での連携を深めながらも、昨年には中国の巨大経済圏構想「一帯一路」構想への参加を見送るなど、米国との関係悪化を避ける動きも見せてきた。

原題:Lula Says He Doesn’t Want to Choose China or US in Trade Fight(抜粋)

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