(ブルームバーグ):英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は、公式の予測の2倍近い打撃を英経済に及ぼした。イングランド銀行(英中央銀行)のシニアエコノミストらによる研究論文でこうした見解が示された。
独立財政機関の予算責任局(OBR)に提出された調査結果によれば、2016年に決まったブレグジットは過去10年間で1人当たりの国内総生産(GDP)を6-8%押し下げた。1800-2400億ポンド(約37兆1000-約49兆4000億円)の打撃に相当する。
この影響について、独立財政機関のOBRは4%と見積もっている。
論文「ブレグジットの経済的影響」は、全米経済研究所(NBER)が公表し、英中銀のシニアエコノミスト、フィリップ・バン氏らが共同執筆したもの。リーブス財務相が来週予算案の発表を控える中で出てきた。同財務相は来週、ブレグジットが成長率の下方修正の一因だと主張すると見込まれている。
リーブス氏による3月の報告以降、200億ポンド規模の財政悪化が見込まれており、OBRによる生産性を巡る想定の引き下げがその大半を占める見通し。リーブス氏は、大幅な増税でこうした状況に対応する計画だ。
論文は、ブレグジットが16年以降、生産性を単独で3-4%低下させ、さらに投資や雇用にも打撃を与えたとしている。
リーブス氏は先月の国際通貨基金(IMF)年次総会で、英経済の悪化についてブレグジットを要因の一つに挙げた。「英国の生産性の課題は、英国のEU離脱の方法によって一層深刻になった」と声明で指摘している。
またイングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁も同じ会合で、ブレグジットが「当面の将来」にわたり経済成長の重荷になるとの見通しを示している。

原題:Brexit Hit to UK Economy Double Official Estimate, Study Finds(抜粋)
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