トランプ米大統領は22日、パウエル連邦準制度理事会(FRB)議長解任の意図はないと表明した。トランプ氏は最近、早期利下げに動いていないとしてパウエル議長率いる金融当局に重ねて不満を表明。これを受けて市場には動揺が広がっていた。

トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、パウエル議長について「私には彼を解任する意図は全くない。利下げ検討の面で彼にはもう少し活発になってほしい」と語った。解任しようとしたことは「決してない」とした。

ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)のハセット委員長は18日、トランプ氏がパウエル議長を解任することができるかどうか検討中だと話していた。

トランプ氏は22日、「利下げには完璧なタイミングだと思う。そして、議長には後れを取るのではなく、早めもしくは時間通りであってほしい」とコメントした。自身の発言を契機とした市場の動揺を巡っては、行き過ぎだとの認識を示した。

ニューヨーク時間22日の通常取引終了後の時間外取引では、米株価指数先物が上昇。トランプ氏がパウエル議長解任の意図を否定するとともに、中国との貿易交渉で強硬路線を取るつもりはないと発言したことが好感された。午後6時40分(日本時間23日午前7時40分)時点で、S&P500種株価指数先物は1.5%高、ナスダック100指数先物は1.8%高で取引された。

トランプ氏は17日、パウエル議長の「解任は一刻も早く実現すべきだ!」と、自身のソーシャルメディア・プラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿。21日の投稿では議長に関し、「ミスター・トゥー・レイト(遅過ぎる男)という、とんでもない負け犬が今すぐ金利を下げなければ、経済は減速する恐れがある」と主張していた。

米金融当局は昨年終盤に計1ポイントの利下げに踏み切った後、今年に入ってからは政策金利を据え置いている。トランプ政権による関税政策や税制改革、規制緩和、移民対策が米経済にどのような影響を及ぼすか静観したい考えだ。

金融当局者の大多数は、現行の金融政策が適切なポジションにあり、2%の当局目標を上回るインフレ率を押し下げるには、引き続き景気抑制的な政策の維持が必要だとする立場を表明している。

パウエル議長解任の意図はないとトランプ米大統領

原題:Trump Says He Has No Intention of Firing Fed Chief Powell (3)、US Stock Futures Rise After Trump Tamps Down Powell Criticisms(抜粋)

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