(ブルームバーグ):S&P500種株価指数がまた大きく下げ、ドルも売られ、金は過去最高値を更新する中、ウォール街は普段通りだといった雰囲気に包まれた。
市場解説で知られる30年のベテラン、デーブ・ルッツ氏は「これほど静かで穏やかな4%安の日は記憶にない」とし、「株式とオプションの売買高もほとんどない」と指摘した。
今月初めのような状況、例えばトランプ米大統領の上乗せ関税発表を受けて3日と4日にS&P500種が計10%強下げた時や、その1週間後に、関税措置の一時停止表明を手掛かりに9.5%高を記録した時などとは対照的に、投資プロや運用担当者の反応は、やや困惑しつつもかなり落ち着いたものだった。先行きが見通せない中、臆測が飛び交っている。
ハートル・キャラハンのブラッド・コンガー最高投資責任者(CIO)は「現在は経済が全てだが、これから何が起こるか、あるいは起こり得るのかは誰にも分からない」とした上で「大胆に行動することに大きな恐怖感がある。ガラスの破片が散らばる暗い部屋では、光が戻るまでじっとしているのが最善といった感じだ」との見方を示した。

今月は、2008年10月と20年3月に次ぐ最も変動の激しい期間の一つとして記録される方向だ。だが、世界金融危機や新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に見舞われていたこれら時期とは異なり、今回は米金融市場に不穏な静けさが漂う。相場動向は別としても、少なくともトレーダーの心理ではそうだ。
S&P500種は今年、平均で週1回のペースで2%以上の上昇または下落を記録している。これに対し長期的な平均は月2回だ。米株式市場の「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX)は35付近と、通常なら市場不安を示す水準で推移している。
ただ4月に入ってからの取引高は約135億株と、平均の200億株強を大きく下回っている。
「われわれのデスクはかなり静かだ」と、JPモルガン・チェースのトレーディングデスク部門でリスク取引世界責任者を務めるエラン・ルガー氏は21日午後のリポートに記した。

原題:Traders Unfazed in ‘Quietest’ Market Selloff as Big Days Pile Up(抜粋)
--取材協力:Alexandra Semenova、Jeran Wittenstein、Joel Leon.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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