いまマーケットでは「プラザ合意2.0」あるいは「マールアラーゴ合意」というキーワードが注目を集めていますが、当時のプラザ合意とでは“決定的な違い”があるとブルームバーグエコノミクス・シニアエコノミスト木村太郎さんは指摘します。その理由とは?
根本的に“スピリット”が異なる
このところ、マーケットではトランプ政権がドル高を是正し、ドル安に誘導するため、各国に為替政策での協調を求めてくるのではないかという観測が広がっています。
こうした動きを1985年に先進5か国がドル高の是正で協調した「プラザ合意」になぞらえた「プラザ合意2.0」、あるいはトランプ大統領がフロリダ州に所有する邸宅にちなんで「マールアラーゴ合意」と呼ぶ向きがあります。
かつての「プラザ合意」は急激な円高・ドル安を招き、バブル経済のきっかけになったとも言われていますが、当時と現在では、根本的に状況が異なると指摘するのが、ブルームバーグエコノミクス・シニアエコノミストの木村太郎さんです。
「当時は自由貿易を守ろうという“スピリット”で、ドル高の是正に向けてG5は協調しました。しかし、今回の『プラザ合意2.0』あるいは『マールアラーゴ合意』では、トランプ政権は保護貿易主義的であり、自由貿易主義を維持したい日本とヨーロッパとは異なりますので、国際協調するとは考えにくい状況です」
ただ、強引なトランプ政権のやり方に日本が引きずられてしまう懸念はないのでしょうか?