(ブルームバーグ):フランスの首相に再任されたセバスチャン・ルコルニュ氏は組閣を急いでいる。予算案の提出を前に、政策面の譲歩と、解散総選挙を回避したい議員の思惑を頼みにしている。
極右と極左の双方が打倒を狙うルコルニュ氏は、中道右派の共和党や中道左派の社会党から少なくとも黙認を得る必要がある。両党は、政策内容次第では内閣不信任案の採決で棄権もあり得るとの姿勢を示した。
ルコルニュ氏は11日、パリ郊外の警察署を視察した際に記者団に対し、「私の唯一の野心は、誰にとってもつらいこの状況を脱することだ」と述べた。「政治勢力が私を助け、協力して前に進むのか、そうでないのか。問題は12月31日までにどう予算を成立させるかだ」と語った。
昨年、総選挙に打って出たマクロン大統領の賭けは想定通りに進まず、与党・中道連合が弱体化して国民議会(下院)は分裂。内閣は政権運営に苦慮してきた。こうした膠着状態は財政赤字抑制に向けた取り組みにも影を落としている。

ルコルニュ首相の最初の任期は6日、組閣発表からわずか数時間で終わった。下院各派の強硬姿勢を理由に辞任した。
その後、各党と協議を重ねた結果、議員の過半数が早期選挙を避けたい考えであると判断し、妥協の余地があると表明。マクロン大統領は10日夜、ルコルニュ氏を再び首相に指名した。
ルコルニュ氏は11日付の仏紙ラ・トリビューン・ディマンシュとのインタビューで、閣僚名簿を13日または14日に公表し、14日ないし15日に施政方針演説を行うと述べた。その上で「真実の瞬間が訪れる」とし、自身がつまづけば議会解散の可能性があると警告した。
2026年度予算を通常手続きで年内に成立させるには首相が13日に予算案を提出する必要がある。間に合わない場合は、暫定予算案の可決が必要になる見通し。

原題:France’s Lecornu Races to Find Budget Path After Comeback (2)(抜粋)
--取材協力:William Horobin、Samy Adghirni.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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