(ブルームバーグ):海外投資家の超長期国債の買越額が3月、過去最高を記録した。米国の関税政策によって投資家のリスク回避姿勢が強まり、日本国債の安全資産としての需要が増したようだ。
日本証券業協会が21日に発表した統計よると、海外投資家は超長期債を2兆1828億円買い越した。全年限での買越額は6兆252億円で、過去2番目の高水準だ。
トランプ米政権の関税引き上げが市場のボラティリティー急騰につながった3月以降、日本国債の需要は増えている。財務省が発表する対外および対内証券売買契約等の状況によれば、海外からの国内債券への資金流入は4月に入っても高水準を維持している。
ドル建ての場合、日本国債は4月に入ってから5%を超えるリターンを記録している。超長期国債の利回りが急上昇していても、全年限の平均で見ると国債価格は小幅に上昇し、かつ円高が進んだことが要因だ。
一方、国内の保険会社は3月に超長期債を過去最高となる6458億円売り越した。ブルームバーグがまとめたデータによると、30年債の利回りは同月半ばに2006年以来の高水準を付けた。日本銀行が超長期債の買い入れを減額し、米国債のボラティリティーも高止まりする中で、利回りはその後さらに上昇した。
みずほ証券の大森翔央輝チーフ・デスク・ストラテジストは日本の超長期債について、「買い手不在と、米国の長期金利と超長期金利の上昇が積極的な投資を妨げた」とリポートでコメント。会計年度末に当たる3月は投資家が通常、バランスシートを調整する時期だと指摘する。
国内生保が既に発表した今年度の運用計画を見ると、円債需要は強弱まちまちとなる可能性がある。
明治安田生命保険は前年度に続き国内債を削減し、外国の債券や株式を積み増す方針だ。大樹生命保険は、30年、40年債の利回りは魅力があるものの、「まだ市場が落ち着いておらず、金利上昇の見込みもあるので平準的に行う」としている。大同生命保険は超長期債の買い増しは前年度並みと想定。一方、富国生命保険は超長期債投資を積極化する見通しだ。
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