(ブルームバーグ):来週の円相場は上昇しそうだ。日米財務相会合の開催が見込まれ、円安是正が話し合われるリスクに警戒感が再燃する。トランプ米大統領の発言に加え、国際通貨基金(IMF)会合や主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での政策当局者の発言も注目で、相場は上下に振れやすい。
市場関係者の見方
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト
- 当局者の関税・為替政策や景気に対する発言が注目され、日米財務相会合で円安是正の議論が強まっていくのか市場の関心も高い
- ただ、米国債市場が不安定でインフレ懸念も根強い中、米国が能動的にドルを切り下げる状況にはなく、大幅な円高になるような合意は考えにくい
- 短期的にはドル・円のリバウンドがあってもおかしくない。来週の予想レンジは140円-145円程度
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジスト
- トランプ関税を巡る各国との交渉を確認しながら、ヘッドラインに上下するボラティリティーの高い状況が続く
- 日米交渉で円安是正が求められているが、今の段階で日本銀行の利上げや為替介入は難しく、実際の手段が見当たらない状況だ
- 円のロングポジションが積み上がる中、不安材料が取り除かれてくると緩やかに円安が進む可能性がある一方、大きく動くのは円高方向で、140円突破の可能性も出てきている
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長
- 市場が落ち着きそうになると、トランプ大統領から不確実性要素が持ち込まれ、ドルが大きく上昇する材料を見つけにくい
- 米中関税交渉が良い方向に進展しない限り、円高・ドル安のバイアスの方が大きく、140円突破もあり得る
- トランプ関税は2国間交渉に入っており、G20で市場全体を落ち着かせるような結論めいたものを出すことは不可能だ
来週の主な予定
- 21日:IMFと世界銀行の春季会合(ワシントン、26日まで)、イースターマンデーの祝日で欧州や香港など休場
- 22日:IMFの世界経済見通し(WEO)
- 23日:日銀の金融システムリポート
- 23日:G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、24日まで)
- 25日:4月の東京都区部消費者物価指数(CPI)
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