(ブルームバーグ):国内最大の産業別労働組合であるUAゼンセンが13日発表した2025年春闘の妥結状況によると、組合員の約6割を占めるパートタイムの賃上げ率が過去最高となった。
発表によれば、パートの平均賃上げ率は6.53%で、前年同時期の6.45%を上回った。正社員は5.37%で前年同時期(5.91%)を下回ったものの、引き続き高水準を維持している。春闘の第1次回答集計の時点でパートの賃上げ率が正社員を上回るのは9年連続。妥結した139組合のうち60組合が満額回答で、このうち14組合は要求を上回ったという。

12日の集中回答日で高水準の賃上げが相次いだ大企業に続き、中小組合が約7割を占めるUAゼンセンも好調な出足となった。物価の上昇に賃金の上昇が追いつかない状況が続く中、社会全体として賃金の底上げへモメンタム(勢い)を定着できるかが今春闘の焦点となっている。今回の結果は課題とされる雇用形態や企業規模間での格差是正が進んでいることを示唆している。
UAゼンセンは今春闘の賃上げ目標を「6%基準」に設定。パートは「7%基準」を目指している。永島智子会長は会見で、「過去最高となった昨年に引き続き、3年連続で高い水準と言える結果となった」と評価。高い賃上げの定着や雇用形態間の格差是正の加速に向けた流れを作ることができたと述べた。

食料品や光熱費などの物価上昇が家計を圧迫する中、政府も「賃上げこそ成長戦略の要」として環境整備を進めている。12日には労働団体、経済界の代表らと政労使会議を開き、価格転嫁や生産性向上に向けた取り組みについて意見を交換した。
同会議で石破茂首相は、多くの企業から高水準の回答が得られたことについて、「官民の連携が一層進んできたことが実を結んできている」と評価。「今後の中小企業や小規模企業の賃上げに向け、政策を総動員する」と述べた。
(永島会長のコメントとチャートを追加して更新しました)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.