(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)は16、17両日に開催した定例会合で、主要政策金利のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを0.25ポイント引き下げ、4-4.25%とすることを決定した。年内さらに2回の利下げを予想している。
これについての市場関係者の見方は以下の通り。
◎カーソン・グループのライアン・デトリック氏:
- 年内に追加利下げの余地が残されているものの、当局がインフレよりも労働市場の減速を懸念しているのは明らかだ
- 全体として今回の発表は市場を揺さぶるものではなく、想定外の材料もなかった
◎DWSグループのデービッド・ビアンコ氏:
- FOMCは困難な決断を共に下すことで結束を示している
- FOMCの他のメンバーたちが肩を組んでいる一方で、その場には反対する者が1人いる
◎サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのスティーブン・スタンリー氏:
- これはリセッション(景気後退)に向かっている場合に見られるような、積極的な利下げキャンペーンの始まりという感じではない
- 今後の経済動向によって政策の進む道筋は大きく左右されるだろう
◎アセットマークのクリスチャン・チャン氏:
- 声明文ではハト派的なトーンが目立ったが、その後の記者会見はよりバランスの取れたメッセージに変わった。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で、関税に関連したインフレが一時的な現象にとどまらないリスクを強調した
- 全体として今回の対応は市場にとって「ゴルディロックス」的な動きとみなされるかもしれない。成長期待は高まっており、連邦準備制度は労働市場とインフレ双方のリスクを十分に認識しているほか、今後も追加利下げが続く可能性がある
◎ボルビン・ウェルス・マネジメント・グループのジーナ・ボルビン氏:
- FOMCの0.25ポイント利下げは、労働市場の軟化と根強いインフレが政策当局に行動を促したという明確なシグナルだ。だが、段階的な措置だ。方針転換ではなく慎重な一歩だ
- 投資家にとって今回の利下げは金利の小幅な緩和を意味し、花火のような劇的な変化ではない。住宅や消費関連といった金利に敏感なセクターが恩恵を受ける可能性がある一方、依然として慎重さが重要だ。FOMCは綱渡りのような状況にあり、今後のインフレと雇用のデータが次の一手を決める
◎BOKファイナンシャルのスティーブ・ワイエット氏:
- 全体として今回の動きは大方の予想通りだった。そのため株式や債券市場の反応がやや限定的となったのも不思議ではない
- 記者会見でパウエル議長の言葉のトーンや発言内容からは、今回の決定は労働市場のさらなる軟化を回避する予防的措置であり、成長を大きく押し上げる狙いではないことがうかがえる。いずれにせよ成長は問題なく推移するだろう
◎ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏:
- 0.25ポイントの利下げは正しい判断だった
- 今後もドル下落基調が続く
- 注目すべき最大の機会はドル安の流れだ
- 信用スプレッドには若干の圧力がかかる可能性がある。過度な緩和のリスクにも言及
- インフレ率の上振れリスクを軽視すべきではない。利回り曲線については人為的に操作されない限り、スティープ化が続くと予想
- FOMC内の見解が分かれている点については「際立っている」
◎eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏:
- FOMCは市場がまさに見込んでいた政策を発表した。2025年の利下げ3回のうちの1回目で、予想通りの結果だった。市場は典型的な「ニュースで売る」という反応を示すだろうか。季節的に相場が弱含みやすい9月だけに注目される
- 市場が一服する可能性はあっても、経済がリセッションを回避し、企業業績見通しが引き続き上向けば、強気派は押し目買いに動く公算が大きい
◎アカデミー・セキュリティーズのピーター・チア氏:
- 誰もが内容を消化しようとしている。パウエル議長会見後の明確な方向性を待っているアルゴリズム取引の多くが相場を振り回しているが、ハト派的な見方の多くはすでに織り込まれている
- 状況が落ち着けば雇用の弱さが改めて認識され、バース・デス・モデルによる過大評価が完全には実体化していないことに人々は気づくだろう
- その結果、連邦準備制度はドットチャートや会見内容が示唆するよりも速いペースで利下げを進めるはずだ。時間の経過とともに国債は堅調となり、イールドカーブは引き続きフラット化すると予想している
◎ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのサイモン・ダンゴール氏:
- ドットプロット(金利予測分布図)の偏りから、FOMCは今回の利下げに加えて、10月と12月にもそれぞれ0.25ポイントの利下げを実施する可能性が高い。インフレの大幅な上振れや労働市場の急回復といった展開にならない限り、FRBが現在の緩和路線を外れる可能性は低い
◎クレジットサイツのザカリー・グリフィス氏:
- 政策声明、経済見通し、ドットプロットは、おおむね市場の事前予想に沿った内容に見受けられる。声明ではインフレが上昇したことに触れつつも、労働市場の重視が明確だ
◎Bライリー・ウェルスのアート・ホーガン氏:
- 今回の動きはコンセンサスの範囲内であり、弱い内容だった7月雇用統計以来すでに広く予想されていた。市場では短期的に「うわさで買って事実で売る」反応が見られるだろう
◎ラザードのロナルド・テンプル氏:
- 投資家はドットプロットを額面通りに受け取るべきではない。今回のFOMC会合では、政策の道筋が依然として不透明であり、インフレ加速によって今後数カ月の見通しが大きく変わる可能性がある
(市場関係者のコメントを追加して更新します)
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.