(ブルームバーグ):中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)は一段と規律正しく、演出が目立つようになってきていた。その控えめな雰囲気は、国内経済の停滞に対する懸念が深まっていることを如実に反映していた。
だが、今年は違った。北京で5日に開幕した全人代は7日間の日程を終え、11日に閉幕した。中国のスタートアップDeepSeek(ディープシーク)が低コストで高性能の人工知能(AI)モデルを発表したばかりで、AI分野での中国の台頭を印象付けるこの動きは投資家や政治家、さらには規制当局さえも熱狂させた。
全人代を控え、中国共産党の習近平総書記(国家主席)がアリババグループの共同創業者、馬雲(ジャック・マー)氏を含む民間企業のリーダーらと座談会を開いたことも注目された。
地方から全人代に参加した党幹部は自らの地域を中国におけるAIの中心地とするよう売り込み、AIに関係する教育の推進やテクノロジーの応用拡大、研究の促進や社会的影響の規制といったさまざまな提案を行った。メディアに公開された集団討議やブルームバーグ・ニュースが確認した非公開セッションの記録が示している。
政策に関する討論でも珍しく活気が見られ、少なくとも1人の代表が、小規模なテクノロジー企業には銀行融資へのアクセスが限られていると不満を訴えた。
中国経済・金融当局トップ5人が先週開いた2時間に及んだ記者会見では、今年の経済優先課題である国内消費の拡大や米国の関税引き上げに対する新たな懸念に関する質問と並んで、AIが話題の中心となった。
証券監督管理委員会(証監会)の呉清主席は、「この記者会見は、ほとんどテクノロジーがテーマの会見になりつつある」と述べ、「テクノロジーがより大きな役割を果たしている」と指摘。ディープシークが中国資産の再評価を後押ししたと強調した。

ただ、閉幕式も異例だった。全人代常務委員長で共産党序列3位の趙楽際氏(68)が参加せず、副委員長の李鴻忠氏が議事進行を代行した。李氏によれば、趙氏は「呼吸器感染症」のため欠席した。
趙氏が最後に姿を見せたのは8日の全人代会合。10日の人民政治協商会議(政協)閉幕式も欠席していた。政協は国政助言機関。中国が高官の健康状態を公表するのもまれだ。
原題:AI Fever Sweeps China’s Political Huddle, Fueling Tech Optimism、China’s No. 3 Leader Skips Key Political Meeting Citing Illness(抜粋)
(全人代常務委員長の閉幕式欠席を追加して更新します)
--取材協力:Charlie Zhu.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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