(ブルームバーグ):メキシコのシェインバウム大統領は、米国への輸出品にトランプ米大統領が相互関税を来月課すことはないと確信していると表明した。両国の間では緊張が続いている。
トランプ大統領は米国からの輸入品に関税を賦課する国に対して4月2日から関税を課すと警告している。だがシェインバウム大統領は9日、メキシコ市中心部の広場で開かれた大規模集会で、メキシコにはそうした貿易障壁はないと指摘した。
「メキシコはその対象外だ。この30年間に2つの貿易協定を結び、われわれは彼らに関税をかけず、彼らもわれわれに関税をかけないことを定めたからだ」とした上で、「つまり事実上、メキシコの対米関税は存在せず、相互関税を適用する必要はない」と述べた。
6日にトランプ氏は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した物品・サービスに対する25%の関税を4月2日まで一時停止すると表明した。相互関税とは別のこれら関税は、米国への不法移民や麻薬流入を阻止しなければメキシコとカナダに課すとしている。
数千人の支持者が集まった集会は当初、シェインバウム氏が米関税に対するメキシコの対応を発表する予定だったが、一転して祝賀ムードに包まれた。
トランプ氏の関税一時停止は、貿易摩擦が数カ月に及ぶ中、張り詰めた状況下で冷静さと粘り強さを示し、称賛を浴びたシェインバウム氏の勝利を示すものとなった。同氏はトランプ氏をなだめつつ、はるかに強力な米国との闘いでメキシコ国民の利益を守っていると国民にアピールすることで、バランスを取ろうとしている。
「われわれは主権を放棄することはできないし、外国政府の決定で国民が影響を受けるわけにはいかない」と訴えた。
エル・フィナンシエロ紙によると、シェインバウム氏の支持率は現在、85%となっている。
原題:Sheinbaum Says She Sees Mexico Avoiding Reciprocal Tariffs (1)(抜粋)
--取材協力:Maya Averbuch.
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