(ブルームバーグ):10日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=147円台前半に上昇。米国の景気減速懸念や日本銀行の追加利上げ観測を背景に買いが優勢だ。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、米経済は今後の雇用悪化や関税の影響で減速懸念がくすぶり続け、円相場は「先週末の高値を再び試す可能性が高い」と述べた。日銀の利上げは遅くても「6月か7月という状況は変わらない」との見方を示し、日米の金融政策の方向性の違いが意識されると語った。
前週末の海外市場で円は、予想を下回る米雇用統計を受けて一時146円95銭と、約5カ月ぶりの高値を付けた。
朝方発表された1月の毎月勤労統計では、基本給に相当する所定内給与の伸び率がパートタイムを除く一般労働者で過去最高を更新した。一方、実質賃金は物価高の影響で3カ月ぶりのマイナスとなった。
2025年春闘の賃上げ要求が32年ぶりに6%を超えたことで日銀の追加利上げ観測が根強く、円高を後押ししている。SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、14日に連合が公表する第1回回答集計結果について「利上げへの道を順調に歩んでいる内容は変わらないだろう」とし、次回の利上げ予想時期が7月より前倒しされる可能性を指摘した。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、アセットマネジャーの円の対ドルポジションは4日時点で8万1572枚の買い越しと、21年2月以来の高水準。レバレッジド・ファンドによる円の売り越しは667枚に縮小し、昨年10月以来の買い越しへの転換が近づいている。

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