(ブルームバーグ):米国では2月に雇用が引き続き堅調に推移し、失業率はわずかに上昇した。経済の不確実性が強まる中、労働市場が漸進的にしか減速していない様子が明らかになった。
同統計に関する市場関係者の見方は以下の通り。
◎シット・インベストメントのブライス・ドティ氏:
本質的に、今回の雇用統計は債券投資家には全く明瞭さを提示していない。FOMCは金利を高水準で維持するとも言えるし、従来の想定より早期に利下げが必要になる可能性があることを意味すると言うこともできる
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏:
ここ数日のニュースを受けて、きょうの雇用統計は労働市場の健全性を巡り深刻な不安を抱かせる結果になるのではないかとの懸念があった。どちらかと言えば、今回の統計は予想通りで安心感をもたらす内容だ。雇用者数の伸び減速はここ数カ月にわたって緩やかなペースにとどまっていることを示している
最悪の事態は回避されたとはいえ、労働市場は鈍化しつつあり、今後数カ月に米金融当局による何らかの支援が必要になる可能性があることが確認された。さらに、米経済に逆風が吹き荒れる中、雇用の軟化傾向は持続し、一層深まる可能性もある。連邦職員の解雇と公共支出削減、関税を巡る不透明感という有害な要因が重なっているためだ
◎ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザカレリ氏:
雇用統計が予想よりは悪くなかったことで、市場は安堵のため息をついた。ほぼ予想通りで、失業率は4.0%から4.1%へとわずかに上昇したものの、歴史的に見ればまだ低い水準だ。
関税の発動と撤回が繰り返されるなど、連日のニュースの嵐の中では、それに惑わされ、最終的に何が重要なのかを忘れてしまいがちだ。市場が意識しているのは雇用、生産性、利益だ。インフレは利益にとって問題となり得る。消費者の購買意欲が減退すれば販売数量が減り、レイオフも始まる。そうなれば経済は下降スパイラルに陥る恐れがあるが、今のところそれは起こっていない。
相次ぐ関税のニュースに振り回されているように感じるが、われわれの姿勢は2025年当初と変わっていない。極めて慎重、リスクオフ、バリュエーションと集中度合いを懸念というものだ。われわれは昨年末から顧客に対し、2025年は政策の不確実性から不安定な年になる可能性が高いと説明してきたが、まさにその通りとなっている。
◎ハリス・フィナンシャル・グループのジェイミー・コックス氏:
これはFOMCを利下げに動かす1つの方法だ。政府による景気下支えへの依存から市場の自立への移行はやや不安定なものになるだろう。雇用市場には強さを維持しているものの、政府が人員削減モードに入っていることから大きく減速する見通しだ
◎チャールズ・シュワブUKのリチャード・フリン氏:
市場が好材料を必要としているときに、この残念なニュースが流れた。
投資家はすでに成長減速を懸念しており、向こう数日や数週間は経済データに対する感応度が高くなるだろう。惨めな2月が過ぎても、この統計が市場をさらに圧迫する可能性はある
原題:Stocks Fall and Bonds Rise After US Jobs Report: Markets Wrap(抜粋)
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