湖のほとりに置かれた安楽椅子に座って過ごす老後のイメージは、オフィスの回転椅子に座ってデスクに向かう姿に急速に置き換わりつつある。

トランスアメリカ研究所の退職研究部門が6日に公表した報告書によれば、米国でフルタイムの仕事を延長するか、退職後も仕事を継続、あるいは退職しないことを計画している人は数百万人に上る。自営業者ではない労働者の約36%が70歳以降の退職を計画し、53%は引退後も仕事を続けるつもりだと答えている。

同研究所のキャサリン・コリンソン所長兼最高経営責任者(CEO)は「人々は、引退後もパートタイムで仕事を続けることを想定しており、引退後の生活とは、自分の好きなことに時間を費やす自由と柔軟性であると考えている」と分析した。

もちろん、仕事に本質的な価値を見いだし、従来の定年退職年齢である65歳を超えても仕事を続けたいと考える人もいる。しかし、引退後に生活の余裕がなくなることを心配し、退職の見通しを調整している米国人は多い。

報告書によると、調査対象となった労働者の4割近くは、老後の最大の不安の一つとして、長生きして貯蓄を使い果たしてしまうことを挙げている。しかし、貯蓄を殖やすことは昨今では難しい。生活費はここ数年、高止まりしており、トランプ政権による貿易戦争の推進で物価上昇圧力がさらに高まる恐れもある。

 

ニューヨーク連銀の報告書によると、住宅ローンや学生ローン、自動車ローン、クレジットカードの残高を主とする家計債務総額は2024年末には18兆ドル(約2700兆円)と過去最高に達した。消費者債務の延滞割合は24年10-12月(第4四半期)に約5年ぶりの高水準となった。

トランスアメリカ研究所の報告書に掲載された調査結果は、24年9月11日から10月17日にかけてハリス・ポールが18歳以上の米成人6135人を対象にオンラインで実施した調査に基づく。

原題:The New Retirement Vision Is Not Really Retiring, Survey Says(抜粋)

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