最近の代表的な少子化対策

▼「初めての出会い利用券」の支給金額拡大

「初めての出会い利用券」は、2020年12月に発表された第4次低出産・高齢社会基本計画の中核事業である「乳幼児期集中投資事業」の一環として導入された制度であり、出生初期の養育費負担を緩和することを目的としている。

この制度により、2022年1月1日以降に第一子が生まれた場合、親に対して200万ウォンがバウチャー(国民幸福カード)として支給された。さらに、2024年からは第二子以上の場合、バウチャーの金額が従来の200万ウォンから300万ウォンに引き上げられた。

例えば、双子が生まれた場合、第一子には200万ウォン、第二子には300万ウォンが支給され、合計500万ウォンのバウチャーが提供される。

使用期限は、子どもの出生日(出生届を提出し、住民登録番号が付与された日)から1年間であり、未使用の場合は自動的に無効となる。

「初めての出会い利用券」は、遊興業、風俗業、マッサージなどの衛生業(美容室を除く)、レジャー業、アダルトグッズなどの購入には使用できないが、オンラインショッピングを含め、幅広い業種での利用が可能である。

2023年現在、「初めての出会い利用券」の主な使用先は、

・「産後調理院」:48.4%(最も多い)
・育児用品:15.5%
・医療費:14.6%
・飲食費:13.7%
・生活用品:5.3%

であることが確認された。

※「産後調理院」とは、産後の母体ケアに特化した施設であり、食事の提供をはじめ、マッサージやヨガなどのケア、さらに赤ちゃんと母親の身の回りの世話までを総合的に行う施設である。韓国の保健福祉部が2024年に実施した「2024年産後調理実態調査」によると、「産後調理院」を利用した産母の平均滞在日数は12.6日、費用は平均286.5万ウォンであることが明らかになった。

▼「6+6親育児休業制度」を実施

韓国政府は従来の「3+3親育児休業制度」を、2024年から「6+6親育児休業制度」に拡大実施している。

「6+6親育児休業制度」とは、育児休業を取得する親の中でも、生まれてから18カ月以内の子供を養育するために同時に育児休業を取得した父母に対して、最初の6カ月間について育児休業給付金として父母両方に通常賃金の100%を支給する制度である(韓国における通常賃金は、基本給と各種手当で構成されており、変動性の賃金・手当は除外される。通常賃金は、時間外・休日労働手当や退職金を計算するための基準となる)。

この制度を実施してから、育児休業の取得者数が大きく増加した。特に男性の育児休業取得者数が増加し、2002年78人に過ぎなかった男性の育児休業取得者数は、2024年には41,289人まで増加し、全育児休業取得者のうち男性が占める割合も同期間に2.1%から31.6%まで上昇した。育児休業を取得した男性が増加したことにより、一部の女性の育児や家事に対する負担が軽くなった可能性がある。

▼代替人材雇用時の助成金を増額

一方、ワーク・ライフ・バランスの実現に伴う中小企業の負担を軽減するため、中小企業が出産休暇・育児期の労働時間短縮に伴う代替人材を新しく雇用した際の助成金を従来の80万ウォンから120万ウォンに引き上げた。

また、育児休業制度を利用する労働者が生じた際の業務を代替するための仕組みとして、新規雇用を行うか派遣労働者を使用する事業主に対しても助成金を新設・支給している。

喜ばしいことに、全出生児のうち、第2子が占める割合が上昇している。

全出生児のうち第2子が占める割合は2018年の37.6%から2024年第1四半期には31.7%まで低下したものの、その後反転し、2024年第2四半期には32.6%に、同年第3四半期には32.5%まで上昇した。

第2子が占める割合が上昇したことは、韓国政府の少子化対策やワーク・ライフ・バランス支援策などが効果を出し始めたと解釈することもできる。