フランスの通信衛星運営会社ユーテルサット・コミュニケーションズの株価は今週に入り約3倍に上昇し、2日間の上昇率としては上場以来最大となった。欧州連合(EU)首脳が防衛支出拡大を表明したことや、米国がウクライナへの軍事支援を一時停止したことが手がかり。

ユーテルサット株は4日、前日比77%高の3.57ユーロで終了。一時123%高の4.50ユーロを付けていた。3日は68%高で引けた。

トランプ米大統領は3日、ウクライナ首脳らが和平への誠実なコミットメントを示していると自身が判断するまで、ウクライナに対する全ての軍事支援を一時停止するよう命じた。

トランプ氏の盟友で資産家のイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」は、ウクライナではターミナルの多くが欧州からの資金で賄われており、トランプ氏の命令の影響を受けることはない。それでも米・ウクライナ関係の緊迫化で、サービスが中断されるのではないかとの懸念が高まっている。

 

ユーテルサットの広報担当ジョアンナ・ダーリントン氏はブルームバーグ・ニュース宛ての文書で、傘下の「ワンウェブ」のソリューションについて、「特定の政府・防衛アプリケーションの代替手段を提供できる」と指摘。また、低軌道衛星サービスは既にウクライナで使われているとした上で、「さらなるターミナルを迅速に展開できるよう、欧州の機関やビジネスパートナーと共同で積極的に取り組んでいる」と説明した。

欧州議員を務めるフランスの政治家クリストフ・グルドラー氏は先週の書簡でEUに対し、ウクライナ向けにスターリンクに代わる「衛星ソリューションのあらゆる可能性を検討するため直ちに行動すべきだ」と訴えていた。

ただ、ワンウェブの衛星ネットワークの規模は依然としてスターリンクの10分の1未満にとどまっており、ユーテルサット株は低迷していた。株価は今週の急伸にもかかわらず、ユーテルサットとワンウェブが経営統合で合意した2022年の水準をなお下回っている。

原題:Starlink Rival Eutelsat Triples on EU Defense Spending Plan (1)(抜粋)

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