(ブルームバーグ):来週の円相場は上昇が見込まれる。3月4日にトランプ米政権の関税発動が予定され、米国経済に対する懸念の高まりからリスクオフのドル売り・円買いが優勢になりそうだ。日本銀行の内田真一副総裁の講演が市場の予想に比べてタカ派的になれば、円の上昇を促す可能性がある。
市場関係者の見方
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジスト
- 円買い方向の材料が多い。トランプ大統領の施政方針演説で何が飛び出すか警戒され、全体的に見ても米国経済に対する懸念は高まっていくだろう
- 重要な米経済指標を見極めていく必要はあるが、企業も家計もマインドが萎縮しており、リスク回避的な流れが続く可能性が高い
- 内田副総裁の講演が昨年8月のようなハト派に傾斜することは考えづらく、次の利上げに向けた地ならしになるのではないか
- 来週のドル・円の予想レンジは148円00銭~151円50銭程度
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジスト
- 関税発動によるドル買いが円に対しても強まるかは判断が難しい。日銀の追加利上げ観測が根強く、ドル以外の通貨に対して円を買う動きも目立っている
- 自動車関税など日本株が売られる要因はリスク回避の円買いとなり、ドル・円は一方向に動きづらい。上下に振れながらレンジを形成しそうだ
- 内田副総裁の講演は2月の日銀審議委員2人の講演に比べてタカ派トーンが抑えられるとみており、やや円安・ドル高方向に戻す場面もあるのではないか
- 来週のドル・円の予想レンジは148円00銭~152円00銭程度
来週の主な予定
- 3日:2月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数
- 4日:2024年10-12月期の法人企業統計
- 4日:トランプ米大統領の議会演説
- 5日:日銀の内田副総裁の講演・会見
- 5日:米地区連銀経済報告(ベージュブック)、2月の米ISM非製造業景況指数
- 6日:連合が25年春闘の要求集計結果を公表
- 6日:欧州中央銀行(ECB)が政策金利を発表、ラガルド総裁会見
- 7日:2月の米雇用統計
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