(ブルームバーグ):ムーディーズ・ジャパンは21日、日産自動車の格付けを「Baa3」から投機的格付けである「Ba1」に1段階引き下げたと発表した。ホンダとの共同持ち株会社設立交渉が破談になって以降、格付け会社による格下げが相次いでいる。
ムーディーズのシニア・アナリストの円城ディーン氏は発表資料で、格下げの理由について、自動車事業のフリーキャッシュフローの弱さなど日産の信用状況が悪化し、今後も低迷する見通しであることを反映したと説明した。見通しは「ネガティブ」を維持した。

日産とホンダは13日、経営統合の協議を打ち切ると発表。日産は同日、今期(2025年3月期)の最終損益が一転800億円の赤字になるとの見通しも示した。同社の信用リスクを表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は拡大傾向にあり、17日には楽天グループやソフトバンクグループを抜き今年初めて日本企業で最大となった。
東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは、日産の今後の資金調達について、コミットメントライン(銀行融資枠)などを活用できるが、社債発行による調達は「コストが上がってしまうので難しいだろう」との見方を示した。
ムーディーズに先駆け、格付投資情報センター(R&I)が14日、日本格付研究所(JCR)は18日に、日産の格付けを「A」から「A-」にそれぞれ引き下げている。JCRは主要市場の米国や中国での販売不振が続き、リストラも途上であることから収益力の大幅改善には時間を要する可能性が高いと判断した。
(第4段落にアナリストのコメントを追加しました)
--取材協力:香月夏子、沢和世.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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