実質賃金を考える上で必要な「2つのポイント」

実質賃金が上がらない問題と向き合う上で唐鎌氏は、「労働分配率」と「交易条件」の2点を考えるべきだと言います。

具体的には①利益剰余金が積みあがっていく中で、企業の労働者に対する分配が低いという点、そして、②円安によって高額な燃料を購入するなどして、日本企業の交易条件が悪化していったという点です。

唐鎌氏はこう結びます。

「実質賃金を語る際に何でも生産性という人が多い中で、この2点がアプローチしなければいけない(日本の)課題だ」。

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【解説】
・河野龍太郎 | BNPパリバ証券 チーフエコノミスト(日経ヴェリタス『債権・為替アナリストエコノミスト人気調査」で2024年まで11回連続首位の人気エコノミスト。著書に『日本経済の死角 ――収奪的システムを解き明かす』、『成長の臨界:「飽和資本主義」はどこへ向かうのか 』など)

・唐鎌大輔 | みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト(著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』、『「強い円」はどこへ行ったのか』など)

【聞き手】
・竹下隆一郎